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- 2023/05/23 掲載
アップルがまさかの“ディズニー買収”…? 冗談のようで「意外とあり得る」大胆予測
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
ディズニー買収でアップルの時価総額は“83兆円”アップ?
大胆予測はニーダムのレポートとして、同社のアナリストであるローラ・マーティン氏がまとめたもの。その要点は、「12億5000万人のユーザーが持つ20億台のデバイスに届くアップルの流通網と、年間5億7000万人の顧客を相手にビジネスを行うディズニーを統合すれば、アップルの時価総額は15~25%、最大でおよそ6,310億ドル(約83.6兆円)上昇する」というものだ。アップル株主にとり、83兆円以上の時価総額上昇の可能性は聞き捨てならない話である。
マーティン氏の分析にはいくつか重要な前提がある。それが以下の3点だ。
- (1)ディズニーのコンテンツ・ストリーミングビジネスが好調を維持すること
- (2)統合後のアップルが広告企業に変身してゆくこと
- (3)現在のアップルのハード面における技術的優位が失われること
それらを念頭に、レポートを読み解いてゆこう。
相乗効果(1):アップルの解約率が50%減
最初にマーティン氏は、「アップルが持つデータがユーザー個人のデバイス上の振る舞いに基づくものであるのに対し、ディズニーのデータは家族単位であるのが特徴だ。なぜなら、一見すると個人が購入するモノやサービスであっても、その背後には他の家族の影響があるからだ」と看破する。大人の消費者がディズニーのキャラクター商品を買ったり、ストリーミングサービスのDisney+をサブスクで利用したりする場合、実は子供のリクエストに基づく場合が多いのだ。そのようにディズニーファンの子供がいる世帯に関しては、将来的な商品やサービスの購入を予測しやすいのが利点であり、それが統合後のアップルの収益を安定させる一助になる。
さらに、アップルのデバイスやソフトウェアのサービスと、ディズニーのストリーミングやテーマパーク入場パスとをセットで販売することにより、アップルは自社のエコシステム内にディズニーファンを囲い込むことが可能になる。おトク感がアップしたアップルのエコシステムはますます離れがたいものになり、アップルのサービス解約率は50%下がるとマーティン氏は試算している。
またディズニーは、ABCなどの地上波テレビ局、およびESPNなどのケーブル向けテレビ局に加えて、映画やテーマパークという、アップルにはない顧客との接点を持っている。アップルがディズニーを買収すれば、飛躍的にユーザーとのタッチポイントが増加し、特に広告の面において絶大な相乗効果とコストの大幅な削減が見込めるのだ。
ディズニーを買収する利点はまだある。それが、ディズニーの生み出す名作ばかりの映像コンテンツや、作品に登場するキャラクターなどの知的財産権だ。 【次ページ】もう2つの相乗効果とは、買収の実現性は?
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