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  • 2024/05/09 掲載

ソニーやアマゾンと「超本気」提携のシーメンス、「産業メタバース」になぜ注力する?

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現在、メタバースを産業用途に活用する「産業メタバース」の動きが広がりつつある。中でも注目されているのが、ドイツの大手製造企業シーメンスの動きだ。同社はこの分野でソニーやアマゾンとの提携を相次いで発表するなど積極的な取り組みを行っている。産業メタバースとは具体的に何を指すのか。そしてシーメンスが目指す産業メタバースの在り方とはどんなものなのかを解説する。
執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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シーメンスはメタバースを巡って、ソニーやアマゾンと提携を発表している
(Photo:HJBC / Shutterstock.com、yu_photo / Shutterstock.com、Ken Wolter / Shutterstock.com)

「産業メタバース」における2つのメリットとは

 このところコンシューマー向けメタバースは鳴りを潜める状態となっているが、産業メタバース関連の投資や取り組みは拡大しつつある。特に注目されるのは、製造業における進展だ。

 産業メタバースとは、さまざまなテクノロジーの組み合わせによって構築される産業向けの仮想世界のことを指す。この仮想世界は社内・社外間で接続され、たとえば、プロダクトデザインにおけるコラボレーションなどを実現するものだ。

 デロイトは2023年10月のレポートで、米製造企業の間では、産業メタバースを可能にするテクノロジーを導入する動きが活発化しており、産業メタバースが普及する技術的な素地が構築されつつあることを伝えている。

 産業メタバース関連のテクノロジーであるデータアナリティクスやクラウドコンピューティング、IoTが広く普及しつつあり、実験段階を含めこれらのテクノロジーをすでに活用している割合は92%に上った。またプロダクション、カスタマーインタラクション、サプライチェーン、人材におけるユースケースが注目される分野であることも明らかになった。

 たとえばプロダクション関連の取り組みとしては、プロセスシミュレーション、リアルタイムモニタリング、バーチャルプロトタイピング、工場シミュレーション、バーチャルメンテナンスなどが実施されている。

 産業メタバースの取り組みで期待される主な恩恵は、コスト削減と売上増加だ。プロトタイピングなどの工程を仮想世界で実施することで、時間とコストの大幅な短縮につながることが期待される。また、仮想世界でのアフターサービスやカスタマーエクスペリエンスの提供が売上増に寄与する見込みもある。

シーメンスが今「産業メタバース」で注目されるワケ

 この産業メタバース領域で特に注目されているのがドイツ・シーメンスの取り組みだ。シーメンスは他社に先駆け産業メタバースへのコミットメントを表明、NVIDIAなどとの提携のほか、自社でも多額の投資を行い産業メタバースの取り組みを進めている。

 今年開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES2024」では、シーメンスのローランド・ブッシュCEOが基調講演で産業メタバースにおけるデジタルツインと生成AIを活用した自社の取り組みを語っており、新しい領域でのリーダーシップを取る構えを見せている。

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CES2024では、シーメンスのローランド・ブッシュCEOが基調講演を行った
(Photo:RYO Alexandre / Shutterstock.com)

 同社はCES2024で、ソニーと新たなパートナーシップを提携したことも明らかにして注目を集めた。同社はXceleratorのインタラクションツールとしてソニーのXRヘッドセットを採用、特に産業メタバース内でのデザインやエンジニアリングのコラボレーションを促進する計画という。

 このソニーのヘッドセットは、4K OLEDの高画質ヘッドセットで、コントローラーを介して3次元モデルとのインタラクションを可能にする。シーメンスが開発する産業メタバースデザインツール「NX Immersive Designer」に統合され、2024年中にリリースされる見込みだ。 【次ページ】一般向けメタバースとの「違い」とは

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