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- 2019/01/07 掲載
「都市のスポンジ化」がますます深刻化、駅前さえもシャッター通りに
和歌山市の駅前商店街、スポンジ化でシャッター通りに
みその商店街は戦後の闇市が発祥のアーケード街。高度経済成長期やバブル期には100を超す店舗が朝の8時から夜10時、11時まで店を開け、大勢の買い物客でにぎわっていた。本町2丁目とその周辺に広がるぶらくり丁とともに、和歌山市を代表する商店街だ。
商店街には、飲食店や年配客向けの衣料品店が並んでいる。大衆演劇の劇場もあり、雰囲気は昭和そのものだが、活気は感じられない。通行の高校生(18)に話を聞くと、「駅への行き帰りに通るが、買い物はしない」と苦笑していた。
シャッターを下ろしている店をインターネットで検索しても、ほとんどヒットしなかった。電話帳にも記載がない。和歌山市によると、商店街の店の数は100を下回り、店主の高齢化が進んでいるという。現在は多くの店が午後7時で閉店している。
みその商店街は国や和歌山県、和歌山市に補助金を申請せず、独自に活性化を模索している。しかし、空き店舗が増えてスポンジ化が進んだため、なかなか有効策を打ち出せていないように見える。和歌山市商工振興課は「駅前商店街だけに何とかしたいが、相談もないままこちらから口出しすることはできない」と対応に苦慮している。
空き家、空き地の増加受け、国交省が対策導入
国交省は都市のスポンジ化について、空き家や空き地が多数発生し、多数の穴を持つスポンジのように都市の密度が低下することと定義している。スポンジ化が進むと、サービス産業の生産性が低下するほか、行政サービスの非効率化や地域コミュニティの消失、治安の悪化を招く可能性がある。国交省の2013年住宅・土地統計調査では、全国の空き家が過去最多の約820万戸に及び、住宅全体の13.5%を占めた。このうち、賃貸や売却用を除いた空き家は約320万戸で、5年前の2008年調査より20%近く増えている。年10万戸のペースで増加している勘定だ。
民間シンクタンクの野村総合研究所は2033年時点で空き家数が約2,150万戸に達し、空き家率が30.2%まで上昇する可能性があると予測している。
空き地の増加も著しい。2013年の土地基本調査では、駐車場や資材置き場などとしても利用されていない空き地が、全国で約1,550平方キロメートルに達した。5年前の2008年調査に比べるとざっと30%増。このうち、個人所有の空き地は約980平方キロメートルと5年前より50%以上も増えている。
しかも、空き家や空き地の増加が新たな空き家、空き地を生む悪循環に陥っている。シャッター通りはみその商店街に限ったことでなく、全国で深刻な問題に浮上してきた。中小企業庁の全国調査では1商店街当たりの空き店舗率は2016年末で10.4%。その割合は上昇する一方だ。
国交省は市町村が策定する立地適正化計画の居住・都市機能誘導区域を対象に、低未利用地の権利設定を市町村で進められる制度や地域コミュニティが低未利用地に住民のニーズに必要な施設を整備、管理する制度を導入した。
【次ページ】福井と長野の先進事例は地域に一定の効果
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