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  • 2016/11/29 掲載

ABMやMAで必須の「顧客データの整理」、NTTデータが100%を求めずにAIに任せるワケ

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マーケティングのデジタル化に取り組む企業が増えてきた。とくにBtoB企業では、リード(将来、顧客となる可能性のある見込客)獲得から案件化までのプロセスを自動化するMA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する企業も多いが、一方で課題も見えてきている。すなわち、システムを導入すれば活用可能なデータが「自動的に」集まるかというとそうではない点だ。またデータそのものも、活用の目的に沿って整理しないと、結局は分析、活用できない。BtoBマーケティングで注目を集めるABM(アカウント・ベースド・マーケティング)を実現するためにも必須の「企業データの整理」の課題と取り組むべきポイントについて聞いた。
聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、執筆:阿部欽一

聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 松尾慎司、執筆:阿部欽一

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デジタルマーケーティングを進めるうえで必ず直面する課題がある

「企業データのクレンジング」は古くて新しい問題

 顧客の購買行動がデジタル化し、企業とのタッチポイントはオンライン、オフラインと多様化していく中で、従来のような属人的なマーケティング、営業手法では、顧客に対して一貫したアプローチを取ることが難しい。

 とくに、BtoB商材の場合、顧客の購買プロセスは長く、決裁までに時間がかかる傾向がある。そこで、見込客(リード)の獲得から案件化までのマーケティングプロセス全体で顧客と十分な関係を築くことが欠かせない。

 最近では、リードスコアリングやナーチャリングを自動化するMA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する企業が増えているが、多くの企業では、Webなどの限られた経路におけるメール配信等の反応は可視化されるものの、リアルな展示会や紙のDMに対する反応はSFA(営業支援システム)までデータが引き継がれず、効果が可視化されていないのではないだろうか。

 こうした課題は、マーケティング部門、営業企画部門が分断され、さまざまなタッチポイントで収集されたデータ、あるいは販売管理システムやCRMなどの基幹システムに記録された顧客データがバラバラということに起因している。

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リアライズ
代表取締役社長
大西 浩史 氏
 こうした課題について、NTTデータの社内ベンチャーとして1997年に起業したリアライズ 代表取締役社長の大西浩史氏は「部門間だけでなく、部門内でも担当者ごとにイベントの来場者リストをExcelでまとめている状態ということもある。その企業に年間でどれだけイベント来場者があり、どれだけ商談に結びついたかを測定しようにも、リストがバラバラで統合されておらず、かつコード体系が統一されていない。結果として、施策の効果が可視化されない状態に陥っている」と指摘する。

 最近、MAを進化させ、企業が保有する重要クライアントからの売上を最大化しようというABM(アカウント・ベースド・マーケティング)にも注目が集まるが、ABMを実現するためには、顧客・見込み客データを統合し、マーケティングと営業の連携によって、ターゲットアカウントを定義することが欠かせない。

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 これらに共通する課題が「社内のリード情報が部門や担当者ごとバラバラで法人単位に整理できていない問題」だ。「企業内でデータを分析、活用するには、データの粒度を揃えないと、分析のためのシステムをいくら整備しても意味がない」と大西氏は続ける。

 粒度とは、たとえば「表記の揺れ、ばらつき」などによって発生するデータの単位の問題だ。同じ会社なのに支店と本店を両方記載し、別々のコードが付与されてしまうことがある。

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同じ法人を正しく認識できていないと法人別売上が正しく把握できない

「イベント来場者だけでなく、さまざまなタッチポイントにおけるデータを法人単位で統合し、一部門だけでなく、全部門で把握する必要がある。フォーマットも記述もバラバラなデータを整理しないことにはABMは実現できない」(大西氏)

データマネジメントには多大な手間と労力を要する

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 しかし、一般的にエンドユーザーはDBの専門的な知識やデータクレンジングの技術を有していないにもかかわらず、ABMに必要な企業データの整理には特有の難しさがある。

 たとえば、名刺リストやセミナー受講リスト、Web問い合わせリスト、営業日報、基幹業務システム内のマスターデータなど、フォーマットも記述もバラバラだからだ。

 データには入力ミスもある。「とくにWeb経由で利用者が直接データ入力する際は、資料DLなどの目的が達せられれば良いので、活用の側面からは正確でない情報が入力される場合がある」と大西氏は語る。

 あるいは、社内特有の略称や部門固有の用語などもある。多くの企業では「データを活用する視点で入力されていないのが現状」なのだ。

 したがって、通常は機械的にリストを統合するのは難しく、目視確認や手作業で判断する必要があるため、コストがかかる上、次々に新しいデータが追加されて整理しきれないという課題がある。

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顧客リスト統合はなぜ大変なのか

【次ページ】NTTデータがBtoBマーケティングで抱えていた課題
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