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  • 2016/09/21 掲載

40代中年フリーターの貧困が高齢者より深刻だ

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「下流老人」という言葉が広まり、高齢者の貧困問題が注目されるようになった。しかし、実際の問題は高齢者ではない。非正規雇用で働く層を分類・分析し、本当に貧困で苦しむ層を導き出し、これからできることを考えたい。
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本当に苦しいのはどの世代なのか

「非正規4割」時代、「不本意にも非正規」の人々は何を思う?

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 2015年11月、パートや派遣社員など「非正社員(非正規雇用)」の割合が、初めて労働者全体の40%に達したと厚生労働省が発表した。過去25年間でこの比率は倍増しており、企業が正社員以外を雇用する理由の1位は「賃金の節約」であるので、企業はやはり人件費を抑制する手段として非正規雇用を増やしているのだろうか。

 しかし、数字的なもので言うならば、これは「改正高年齢者雇用安定法」の施行により、企業が定年後の正社員をパートタイムとして再雇用していったために、非正社員の割合が押し上げられたという実情はあるようだ。

 厚生年金の受給年齢が引き上げられたため、定年後に年金も給料も受け取れない空白期間をもつ人が増えることを防ぐための雇用延長、いわば高齢者雇用対策として非正社員の比率が高まったというわけだ。

 ただし、「非正規4割」問題のうち、非正規労働者の内訳をひもといていくと、また違った様相が見えてくる。

 非正規ワーカーには次の4つのタイプがあると、尾畠未輝氏(当時、三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員)は指摘している。すなわち、

(1)24歳以下の「学生バイト層」
(2)25~54歳女性の「主婦層」
(3)25~54歳男性の「(不本意な就労が多い)中年フリーター層」
(4)55歳以上男女の「退職者を含むセカンドキャリア層」

である。非正規雇用といえば、かつては主婦のパートが中心だったが、「失われた20年」の間、グローバル競争などを背景にして、従来は世帯の主たる稼ぎ手となっていた層も契約社員や派遣社員として働くケースが増えていった。

 この中でも就職氷河期などで、新卒時に思うような就職ができず、やむを得ず契約社員や派遣社員としてしのいできている人たち、(3)の非正規労働を心ならずも続けざるを得なかった中年層、すなわち「不本意非正規」の人々を中心に光をあてて、その現状をみていきたい。

【次ページ】ロスジェネ世代に「自己責任」を問うことはできない
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