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  • 2016/08/05 掲載

中九州におけるWebとドローン空撮の活用法

IT/情報通信サービス・工藤英幸 さん

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大分県竹田市でドローン空撮サービスやWebサイト制作事業を手がける情報開発研究所の代表 工藤英幸 氏は、東京の企業でITエンジニアとして経験を積んだ後、故郷へと戻り、会社を立ち上げたUターン組の1人だ。今回はその経緯をはじめ、工藤さん自身も被災したという2012年の九州北部豪雨、そして熊本地震に関する取り組み、ドローンの利活用について話を聞いた。
レバテックフリーランス 「世界のフリーランス


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情報開発研究所
代表
工藤英幸 氏

ヤフー、早稲田塾を経て、故郷の大分県竹田市へ戻った理由

――工藤さんは東京の大学を卒業後、都内の企業でITエンジニアとして第一線で活躍されていたわけですが、なぜ故郷に戻ろうと?

工藤氏:大学進学のために上京して以来、気付けば15年ほど東京に住んでいました。大分の方言はなまりが比較的強くないからか、上京してわりとすぐに道を聞かれたりして、よく周囲から東京生まれに間違われていました。でもその度に違和感を覚えて、「自分は大分県の人間や」という気持ちが湧き上がっていました。

また、かつて結婚を考えた相手が生まれも育ちも東京で、東京でしか生活したくないというタイプの人でした。そして当時、故郷には私が東京でしていたようなITを駆使する仕事の口がまだ無かったので、「このまま東京に永住することになるんだろうな…」と思った途端、なぜかどうしても故郷に戻って暮らしたいという思いが芽生えたんですよね。

――その後、2010年1月に竹田市へUターンされてから2011年4月の会社設立まで、1年ほどタイムラグがあります。その間は、フリーランスとして活動されていたのですか?

工藤氏:はい。ちょうど竹田で道の駅などを運営する社団法人「農村商社わかば」が立ち上がる頃で、フリーでその手伝いをさせてもらっていました。その後、地元の企業様、団体様と交流を持つようになり、以降、ホームページや動画の製作、ブログの講習会開催など、ITに関して自分ができることを、いろいろと請け負ってきました。

資金が尽きた頃に襲ってきた九州北部豪雨が転機に

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――その後、2011年4月には法人化されています。故郷・竹田市でIT関連ビジネスを手がける会社を設立されたわけですが、ご苦労はありませんでしたか?

工藤氏:まず、設立登記のために定款を作成しようとしたところ、当時IT企業が無かった竹田には、IT企業の定款を作成した経験を持つ行政書士がいませんでした。そのため自力でいろいろ調べて、こちらで元になるものを作ったうえで、行政書士に作成を依頼しました。

 私は経営学部出身なのですが、大学で得た知識が思ってもみない形で役立ちました。それから定款の電子認証を行いましたが、大分県の県南豊肥地区では初だったそうです。他にも、閉鎖的な田舎で起業をするとITビジネスへの理解がなかなか得られなくて、上手く運ばないことも本当にたくさんありました。

――九州北部豪雨が発生した2012年7月は、起業から1年あまりのタイミングですね。当時、ご自身も被災されたとか。

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九州北部豪雨による被災直後の竹田市の様子
工藤氏:実はちょうど自己資金が底をつき、いわゆる起業後の死の谷にいる状態でした。そこに追い打ちをかけるかのように、九州北部豪雨が襲いました。竹田市には大きな被害が出て、案件が次々キャンセルに。被災後、自宅の近くまで押し寄せた土砂や流木を片付けながら、「もう廃業するしかない」と絶望的な気持ちになったことを覚えています。

 そんな中偶然、知り合いの県庁職員の方がボランティアセンターで復旧活動を推進する様子を伝えたFacebookの投稿を見たんですよね。すると、「もしかしたら自分にも何かできることがあるかも知れない」という考えがとっさに浮かびました。

 もともと竹田市は豪雨による水害が多い地域で、私自身、九州北部豪雨の前にも昭和57年と平成2年に、2度被災した経験がありました。人智を超えた災害を前に、毎回為す術もないことが悔しくて、「どうせやめるなら、最後に良いこと、やりたいことをやってみよう」と覚悟を決め、すぐボランティアセンターへ連絡しました。

――具体的にどんな協力をされたんですか?

工藤氏:ボランティア派遣を支援する災害復旧システムです。システムに被災状況と被災者がボランティアに求める内容を入力すると、関係者の間で情報共有ができる仕組みでした。当時、全国から駆けつけた災害ボランティアは3000名を超え、混乱した現場でその情報を紙で管理することは、困難を極めていました。

 そこで、幾度もの竹田市での被災経験を生かしてシステムの仕様を簡潔にまとめ、通常は3か月から半年かかる開発を1週間で完了し、運用を開始。すると、現場に一定の秩序が生まれたほか、関係者からは迅速な対応を喜んでいただき、「情報が整理しやすくなった」「操作が直感的で使いやすい」などとお褒めの言葉もいただきました。

熊本地震後に立ち上げたメディアにドローンの空撮を掲載

――今回の熊本地震では竹田市の被害は軽微だったそうですが、震災後、取り組んでいらっしゃることはありますか?

工藤氏:地震の発生直後に情報が錯綜するなか、弊社のサイト内に「熊本県熊本地方を震源とする地震関連情報」のページを立ち上げ、熊本・大分の災害に関する情報をWeb上で集めて配信したところ、アクセスが通常の20倍から30倍になりました。

 また、農村商社の立ち上げを共にした元・道の駅店長が、甚大な被害を被った震源地、熊本県益城町の出身でした。その方からの依頼で、現地で必要な支援物資やその受け入れ場所ほかについての情報を発信し、他県などからの支援物資が現地の方々へとなるべく速やかに届くようにお手伝いしました。

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Webサイト「岡城.com」
 さらに、地震発生後から観光客が激減して苦しむ地元・竹田を元気づけるために、天空の城として知られる豊後竹田の「岡城」に関するサイト、『岡城.com』を立ち上げました。実は地震発生の直後から、「岡城は大丈夫?」「石垣はどうなった?」と度々聞かれることがあったため、そのニーズと大切さに気づくことができました。

 ドローンによる岡城の空撮動画などを公開すると、多くのアクセスがあり、「ほとんど被害の無い様子を見てほっとした」などと、安心の声が寄せられました。

【次ページ】地域に密着したドローンの使い方
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