急成長するドローンのサービス市場、注目企業は？

――ドローン市場の今後の予測についてお聞かせください。

ブレイズ氏：我々の分析では、ドローンそのものを製造・販売するプラットフォーム市場は、2020年までに60億ドル以上の規模になると予想しています。また、ドローンを用いてさまざまなサービスを提供するドローンのサービス市場は、2020年代前半にプラットフォーム市場を上回ると予想しています。

　この市場で我々が注目しているキープレーヤーは、 Sky-FuturesとCyberhawkという企業です。地域としては、アメリカや中南米のような土地の広いところでサービスが広まるでしょう。


――Sky-FuturesとCyberhawkの2社は、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。

ブレイズ氏：マッピング、モニタリング、調査などのサービスを提供しています。たとえば、石油・天然ガスの精製所などの施設は、余剰ガスまたは廃ガスをそのまま大気中に放散すると危険なので、施設から離れた場所に「フレアスタック」と呼ばれる焼却施設を用意しています。ドローンは、その処理の確認のために利用されています。このように、ドローンは人間に危険な場所での監視やモニタリングに有効です。また、特定の業界にかかわらず、大規模なコンサートホール、会議場などの監視・モニタリングでも、今後は利用がすすむでしょう。


　現在は大企業がドローンを所有して活用するケースが多いのですが、今後は、中小企業でもサービスとしてドローンを活用するケースが増えると予想しています。業界としては石油、インフラ、風力などの探知・調査、精密農業などの分野です。ただし、ドローンに関するさまざまな規制の問題をクリアすることが不可欠だと考えています。

ドローン活用拡大と法規制　日本と海外でのトレンドの違いとは

――2015年12月10日に改正航空法が施行されました。日本のドローン市場にどのような影響を与えると思いますか。

ブレイズ氏：改正航空法を受けて、中国のドローン製造メーカーは日本市場での新たなビジネス好機を見い出していると公言しています。ただ、私の意見では、日本でのドローン市場は米国のケースと同様になると思われます。すなわち、テクノロジーと規制の両面でBVLOS（Beyond Visual Line of Sight/ 運航者の目視外/ 遠隔操作）が可能になるまでは、ドローン市場の成長が始まることはないということです。

――海外のドローンに関連する法規制のトレンドと、法規制に対処するドローン関連企業の対策トレンドをお教えください。

ブレイズ氏：欧州におけるドローン規制は、米国や日本の規制と比べると非常に寛大なものになっています。一部の企業は、認定を得ればBVLOS飛行が可能になっています。欧州はこれまでも、また今後も、安全性を前提として、ビジネスおよび趣味用途でのドローンの利用を推進していくでしょう。

　AmazonやGoogleなどの米国企業は、欧州においてドローンの飛行実験を積極的に行っています。欧州での許可を得ることが米国よりも簡単だからです。米国やグローバルのドローン製造メーカーは、ドローンがよりオープンに飛行できる地域で他社との競争に勝つために、欧州において販売認可を受けた再販業者の確立を急いでいます。ドローンメーカーのDJI、3DR、ドローンの開発・販売企業のParrotをはじめ、多くの企業が自社のドローンビジネスと製品を欧州の消費者に近い地域に投入するために、販売業者のネットワークを既に確立しているか、あるいは確立に向けた取り組みを現在行っています。

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