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- 2015/04/21 掲載
製薬業界の世界ランキング:武田薬品やアステラス製薬はなぜ世界で10位以下なのか
世界の医薬品産業を支配しているのは欧米メーカー
日本では、薬は戦国時代以前、上流階級の人しか使えない貴重品だった。しかし、江戸時代になると、幕府が薬草の生産を奨励したため、薬は高価ではあったものの、一般庶民にも手が届くようになった。薬の流通も盛んになって、「富山の薬売り」が全国を巡り、大阪や江戸では薬種問屋が成長した。「道修町御三家」と言われた大阪を代表する薬種問屋が、現在の武田薬品工業、塩野義製薬、田辺三菱製薬である。
医薬品には、たとえば、器官別の薬効分類だけでも、抗がん剤、強心剤、整腸剤、消毒剤、麻酔剤、鎮痛剤、ホルモン剤、ビタミン剤といった膨大な種類がある。製薬会社の種類もさまざまだ。医師が処方する取扱いの難しい「医療用医薬品」のメーカーもあれば、誰でも薬局で買える「一般用医薬品」のメーカーもある。
日本には東洋医学に基づく漢方薬などもあるが、現在、世界で主流となっているのは、西洋医学で使われている医薬品。臨床試験の結果、効能のエビデンス(科学的根拠)を認められた薬である。したがって、世界の医薬品業界をリードしているのも、西洋医学に基づく医薬品の研究開発で先行してきた欧米のメーカーだ。
医薬品部門売上高による製薬会社のグローバルランキングは、次のとおりである。トップ10を欧米企業が独占していることがわかるだろう。
M&Aを次々に仕掛け、急成長したファイザー
世界第1位の製薬会社は米国のファイザーである。創業は1849年。もともとは虫下し(回虫駆除)用キャンデーやクエン酸を生産していた。それが世界的な製薬会社に急成長したのは、1990年代からM&Aを積極化し、ブロックバスター(カテゴリーキラー的な大型新薬)を次々と獲得するようになってから。2000年にはワーナー・ランバート、03年にはファルマシア、09年にはワイスを手中に収めている。14年には7位のアストラゼネカの買収提案で業界を震撼させた。同社の薬でとくに有名なのは、ED治療薬「バイアグラ」だろう。そのほか、抗がん剤「スーテント」、緑内障治療薬「キサラタン」といった有力製品を抱えているが、11年に稼ぎ頭だった高脂血症治療薬「リピトール」の特許が切れ、売上げが激減した。“ポストリピトール”を出せるかどうかが注目される。
【次ページ】日本の武田は?
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