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- 2015/04/03 掲載
多角化がわずか1ヶ月で破綻!とある雑貨卸のひとり情シスによる経営改革実録
販売先は雑貨を販売されている小売店です。かつて売上の比率はメーカー業が8割、卸売が2割でした。比率の差は販売数量の差です。生産枚数は春夏秋冬のシーズン毎に数万枚となりますので、年間で20万枚近い販売数になります。
OEM生産を行うことのメリットは、「爆発力」です。販売数量が雑貨の卸売より圧倒的に多いため(発注単位が大きいため)、大量生産することで原価も抑えられます。受注(予約)を取ることさえできれば、短い期間で多くの利益が出せます。デメリットは、売れ残りが発生するリスクです。シーズンが過ぎてしまうと翌年に持ち越すか、原価割れ覚悟の価格で在庫処分をしなければなりません。
OEM生産は2社に依頼していましたが、従来はそのほとんどすべてを主要仕入先であるA社にお願いしていました。卸業という看板を掲げていますが、実態としてはA社の販社だったわけです。同業の卸業でも、仕入先が少なくとも数十社近くあるのですが、弊社はそもそも仕入先が数社しかなかったのです。
というのも、シーズンごとに大量に販売できる商材をA社が扱っており、その商材に経営資源を投入するのが効率的で、かつ最大の利益をあげられるため、必然的に販社化していったのです。
当時、私のIT担当としての主な仕事はコーポレートサイトの運用とOEM生産を行う季節商材の予約管理でした。年間で20万点近い販売を行うため、システムで入出庫を管理しないと在庫数の把握すら困難になります。
昨年の実績と比べて今年はどの商品を何点生産するのか、生産数に対して何点の予約をいただいたのか、在庫として今現在で何点あるのか、どのお客さまにどのように納品すればいいのか...そのような管理を行う社内システムを開発し、運用していたわけです。
売上の柱が枯れ始めた
前年と同じ注文がなくなってしまったのに加えて、さらなる追い打ちに遭いました。原価の高騰です。生産元の中国工場の工賃が、中国経済のインフレに伴い、跳ね上がってしまい、その工賃の上乗せ分が仕入単価にしわ寄せされた格好です。売上は落ちているのに、仕入れ値が上がる。泣きっ面に蜂です。
さらに困ったことに、原価の上昇に反比例して商品の質が下がりました。商品として旬が過ぎたことで成長が見込めないのに、原価は上がっていく。そして、商品の品質が下がっている。何一つ良いことがない状況でした。
OEM依頼先のA社の販売状況も芳しくないため、事業を縮小する可能性も大いにありました。それはすなわち、弊社OEM分の生産ができなくなり商材を仕入れることができないという最悪のシナリオが、現実味を帯びてきていたのでした。
【次ページ】取扱商材の多角化に挑戦するも開始1ヶ月で破綻
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