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  • 2015/03/02 掲載

世界最大級広告配信プラットフォームCTOが予測、モバイル広告は高品質動画で伸びる

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日々進化を遂げているアドテクノロジーだが、近年は2つの重要なトレンドがある。ひとつは自動化であり、もうひとつはビデオ広告だ。2月12日に開催された「SoftLayer Summit」の基調講演では、世界最大級のモバイル広告配信プラットフォームのインフラ部分を担う Opera Response CTO Kanwar Dhaliwal氏が登壇。モバイル広告のエコシステムやトレンド、さらにはグローバルで5億人ものユニークユーザーを抱えている同社のインフラ基盤について、SoftLayer活用事例を交えて語った。

視聴ユーザー5億人を抱える米国モバイル広告企業

photo
Opera Response
CTO
Kanwar Dhaliwal氏
 Opera Mediaworksは2008年にサンフランシスコで創業、2013年にWebブラウザの「Opera」で有名なOperaグループに買収されて現在の社名に変わった。出版社・動画プロバイダ、ポータルサイトなどの供給サイド向けと、クライアント企業、広告代理店など需要サイド向けにモバイル広告配信プラットフォームを提供している企業だ。

 彼らの広告配信プラットフォームのうち、代理店やクライアント企業に広告サーバー(アドサーバー)に提供する際のクラウドインフラ部分を担当するのがOpera Responseだ。Opera Response CTOのKanwar Dhaliwal氏は同社について次のように説明した。

「同社のユニークユーザー数はグローバルで5億人(内1/3が米国のユーザー)と、モバイル広告では世界最大級のビジネス規模を誇る。管理するクラウドアドサーバーは1秒あたり75,000回のトランザクションを処理しており、月に換算すると1,400億回以上となる。2014年は1,500万ものモバイルアプリが利用した」

モバイルの消費者リーチは十分だが広告市場は発展途上

 続いてDhaliwal氏は、モバイル広告の現状について言及した。2013年の米国オンライン広告市場において、消費者がメディアに関わる時間の割合は、テレビが38%、インターネット(Web)が25%、モバイルが20%だ。同様に広告に関わる時間もテレビ広告が全体45%とトップで、インターネットが22%、モバイル広告は4%。モバイルの4%は新聞・雑誌の5%より低い数字だ。

 市場規模でみると、インターネット広告は430億ドルに対し、モバイル広告は71億ドルとなっている。モバイルOSごとの違いは広告収入はAndroidよりiOSの方が多いが、その差は年々埋まってきているという。ただ、iOSはアプリマーケットの市場規模が大きく、広告のインプレッション、収入はAndroidの方が大きいという。

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メディア別にみた「消費時間」と「広告に接する時間」

 このデータから分かることは、テレビやインターネットと比較して、モバイル広告のエンゲージメントの低いことだ。これについてDhaliwal氏は「モバイル広告の伸びしろがまだ十分にある」といい、モバイル広告の将来性は高いと分析した。

 その根拠は、モバイルに関する収入は2008年から前年比で10%前後の伸びを続けており、成長市場といえるため。現状ではモバイル市場の約2/3は有料アプリによる売上で、モバイル広告は1/3程度だが、アプリを広めるために基本的なサービスや製品を無料で提供する「フリーミアム」などの手法は一般的な市場戦略となっており、広告市場も拡大するとDhaliwal氏は見ているわけだ。

パブリッシャーと広告主をつなぐモバイル広告プラットフォーム

 さらにDhaliwal氏は、モバイル広告のエコシステムについて説明した。プレーヤーは大きく「消費者」「パブリッシャー(出版、Webメディア、アプリベンダー)」「広告主」の3つだ。

 広告主の広告コンテンツは、代理店を通じてアドサーバー、いわゆるデマンドサイドプラットフォーム(DSP)に集約される。パブリッシャーは自社のメディア、アプリなど、サプライサイドプラットフォーム(DSP)に対して、ネットワークを通じて広告主の広告を配信してもらう。そして消費者は、最終的にパブリッシャーのサイトで本文と広告が統合されたコンテンツを受け取る。そのとき表示された広告のインプレッション、クリック、コンバージョンデータ(パフォーマンスデータ)は広告主に送られて分析やターゲティングに利用される。これが現在の平均的なモバイル広告のエコシステムだ。

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モバイル広告のエコシステムを示した図。Opera Mediaworksは広告主とパブリッシャーの間のビジネス全般を扱い、Opera Responseは、DSP、ネットワーク、パフォーマンスデータのやりとりに関するインフラや技術を担う

 DSPやパフォーマンスデータのやりとりは、このエコシステムにおいてかなり重要な部分だ。通常、モバイル端末から供給サイドにコンテンツを表示するリクエストがあると、そこからアドサーバーに広告表示のリクエストを行い、応答を受け取る。この処理を行い、サプライサイドに広告を含めてコンテンツが表示されるまで、だいたい0.5秒(400~800ミリ秒)を要するという。この時間が遅いと、サイトのPVや広告のパフォーマンスに影響する。また、パフォーマンスデータはサプライサイドにとって重要な収益につながるものだ。つまりOpera Responseが担うクラウドアドサーバーやネットワーク、データプロバイダー機能(モバイル広告プラットフォーム)が、エコシステムの要といってもよい。

【次ページ】モバイルはPCより動画広告との親和性が高い?
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