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  • 2014/10/09 掲載

日本人の価値観を7つに分類、なぜ「他者追随派」は生活満足度が低いのか?

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今日、社会構造やライフスタイルの多様化により、消費者の姿が見えにくくなったといわれている。何が消費者の心を突き動かし、爆発的なヒットをもたらしたのか、その要因さえも把握しきれないケースが少なくない。その一方で、インターネットの普及に伴い、簡単にリサーチは行えるようになった。数百、数千の消費者に簡単に調査できるのだから、消費者心理も簡単に把握できそうなものだが、「どうしても表層的な調査に終始してしまう」と行き詰まりを指摘するのが、アビーム コンサルティングの千葉尚志氏と加治達也氏だ。そこで同社では、心理学的なアプローチから、人の根底となる価値観を把握するべく「価値観別消費実態調査」を実施。その結果から何が見えてきたのか?そしてその結果はどうマーケティングに活かせるのか?千葉氏と加治氏に話を聞いた。
『価値観別消費実態調査 2014』調査の概要
調査期間:2014年2月1日(土)~2月2日(日)
調査方法:アンケート調査(インターネット)
調査地域:全国
対象者 :18~79歳の男女
回収数 :3,000サンプル
※本調査では、統計学の信頼区間の考え方より、95%の確率で標本誤差を±5%に収めるため、7つの価値観クラスタごとに平均400人程度確保した

 日本全国の約3,000人を対象に、心理学に基づいて設計されたアンケート調査を実施し、有効回答から消費者の根底にある価値観を明らかにし、下図の7つのセグメント(イノベーション志向派、合理主義派、他者追随派、安定志向派、おっとり派、懐疑志向派、内向き志向派)に分類し、それぞれのセグメントの特徴や意識・実態を詳細に分析した。

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各価値観セグメントの特徴

 回答者の割合を分析した結果、下図のとおり、他者追随派(26%)、安定志向派(17%)、合理主義派(16%)、おっとり派(16%)、懐疑志向派(12%)、イノベーション志向派(10%)、内向き志向派(3%)となった。

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割合別価値観セグメント


行き詰まり打開のため、顧客の心理的な側面から捉える

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アビーム コンサルティング
BIセクター
プロセス&テクノロジー
第4事業部 ディレクター
千葉 尚志 氏
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アビーム コンサルティング
CRMセクター
プロセス&テクノロジー
第4事業部 マネージャー
加治 達也 氏
──まず「価値観別消費実態調査」を実施された意図を教えてください。

千葉氏:もともとの背景は、昨今のWebマーケティングの行き詰まりにあります。One to Oneマーケティングの時代といわれながら、オペレーションの実態は隔靴掻痒(かっかそうよう)の感があります。

 私自身よくイライラするのですが、旅行から帰ってきたばかりのときに「次はスペインがお勧めです」とリコメンドされてもまったく響きません。ECサイトで商品を購入後に、同じ商品がリターゲティングのバナー広告として出るのも同じです。これらはまだテクノロジーが十分に発達していなかったり、データ活用上の倫理的制約があったりするからなのですが、それなら、いっそ大きく原点回帰して、顧客を心理的な側面からじっくり捉えてみてはどうかと考えたのです。

加治氏:これは当社で提供しているカスタマーインサイトマーケティングの一環で、顧客の心理面にフォーカスし、心理学をベースに設計したことからサイコグラフィックセグメンテーションというジャンルに位置付けています。

──表層的な行動にとらわれず、深層心理を探ることで、消費者自身の気づかない心理も読み取ろうというアプローチですね。ベースにされた心理学とはどのようなものですか?

千葉氏:マズローの欲求5段階説など複数の心理学理論をミックスしています。実はグローバルのアビームグループでも同様の調査を実施しているのですが、それを日本の社会向けにアレンジしました。たとえば、マズローの低次欲求で、生きるか死ぬかといった生理的欲求は日本ではあまり問題になることはないでしょう。また、一神教か多神教かという宗教観を日本で尋ねるのもピントはずれです。そういう点を調整して実施しています。

──日本人を“7つの価値観セグメント”に分類しようという試みがユニークですが、調査にあたって心がけられた点は何かありますか。

千葉氏:世に類似のアンケート調査はたくさんありますが、一つ差別化要因を挙げるとしたら、“何にもフォーカスしていないこと”だと思います。

 こうした調査は“○○業界における~”と的を絞りがちなのですが、これはそうしたバイアスをまったくかけていません。何に使うという想定なしに幅広く、生活信条、消費動態、メディア視聴を質問しています。そして、その結果を多変量解析にかけ、分析軸を変えながら何百通りの結果を出し、試行錯誤の末に7つの価値観セグメントにまとめ上げました。

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