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  • 2013/11/20 掲載

公共事業はICインフラと連携・協調してこそ強靭になる

【連載】変わるBCP、危機管理の最新動向

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本連載ではこれまで「国土強靭化」の施策と「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)」の基本的な考え方、方向性とBCP/次世代BCPの関係について取り上げてきた。今回はナショナル・レジリエンスにかかる最新の動向として、M2M/IoTなどのデバイス間自動連係ネットワークとの関係やレスキューロボットがもたらす可能性について、具体的な動向を取り上げていくこととしたい。講師は、次世代BCPとレジリエンス・マネジメント双方に詳しい、リスクマネジメントのシニアコンサルタントのD氏である。

次世代ICTと公共事業の統合がもたらすもの

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D氏:前回はナレッジ・インフラとナショナルレジリエンスとの深くて密接な関係についてお話ししましたが、今回は少し視点を変えて、ICTとナショナルレジリエンスの関係、ナショナルレジリエンスに対してどのように先進ICTを活用できるのか、という視点で少しお話しをしてみたいと思います。

 前回、インフラの老朽化、とりわけ高速道路などの公共設備の老朽による潜在リスクの上昇について触れました。こうした高速道路や老朽施設などは、現在行われているように、人手による定期的な点検を今後も必要としながらも、少子・高齢化、地域過疎化を迎えている現在、人手だけに依存しない運用も検討するべき状況にあります。

 人手に頼った点検や診断はどうしても間欠的となってしまいがちです。ご存じのとおり、インフラは時間が経てば経つほど、経年劣化が深刻となっていきます。年々、点検頻度、対象項目は増える一方ですし、点検コストもこれから急増すると予想されています。そこで、なんとかICTを活用して人手不足を補えないのかという発想が出てくることになるわけです。

 笹子トンネル事故の教訓が示しているように、高速道路のような長大で、広範囲に渡る施設の維持・診断において、最新のICTを活用することは自然な流れといえるでしょう。具体的には、高速道路の保守点検に関する時系列的・定量的なモニタリングシステム、ネットワークを活用した新しい点検手法や診断の仕組みを確立させることは急務といえます。

聴講者A:ICTを活用して、さまざまな公共インフラを常時監視したり、異常を検知して通報するシステムの利用は今後、拡大していくということでしょうか?

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D氏:少子・高齢化社会を迎えているなかで、今後、維持・保守点検に係る人材において深刻な人手不足が懸念されています。そのこともあって、現在、我が国ではセンサーネットワーク、M2MIoT(Internet of Things)の取り組みが活発化しています。

 電力網の多様な機器や家庭の電力メーターを繋ぎ、センサー機能を導入することで次世代型の電力ネットワークを構築するスマートグリッドも、老朽化した公共設備、病院施設に対するモニタリングシステムとして応用させることが可能となっていくでしょう。

 さまざまな先端センサーネットワークやスマートグリッドの仕組みを活かすことで、より効率的な監視・点検が可能となることが期待されています。コスト削減も見込めるでしょう。

聴講者A:ICTを活用したインフラ監視システムの構築などはナショナル・レジリエンスの観点でも有望なテーマとなるのでしょうか?

D氏:ご指摘のとおりです。こうした取り組みはナショナル・レジリエンスの観点でも注目していくべきアプローチといえます。

 もはやセンサーネットワークをはじめとする仕組みが、新規に敷設する構築物だけでなく、既存のあらあゆる施設、老朽化した施設の維持・保守・点検・監視システムとして検討することになっていくことと予想されます。

 こうした取り組みは、技術的な意味でのソリューションとしてだけではなく、ICT政策や公共事業の政策論議ともかかるテーマですので今後、積極的な論議が行われることを期待しています。M2MやIoTなどの次世代ICTは、未来志向の公共事業と結合することで、いわば「ナショナル・レジリエンスのイノベーション」として結実していくことが期待されるのではないでしょうか。

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