• 2013/09/10 掲載

Webやソーシャルなどデジタルマーケティング遅れに6割が焦り、課題は人材と経営理解

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デジタルマーケティングツールを手がけるアドビ システムズは10日、「企業におけるマーケティング、デジタルマーケティングの現状と課題」に関するインターネット調査の結果を発表した。調査結果によれば、約8割の企業がWebやSNSをはじめとする各種デジタルマーケティングの重要性を認識しているにも関わらず、デジタルマーケティングへの取り組みは思うように進展しておらず、経営層の理解の有無と、実行のための組織と人材がその進展を左右する傾向にあることが明らかになった。
 調査期間は2013年5月9日~5月17日。対象となったのは、従業員500人以上の企業経営/マーケティング/営業関連部門勤務者で、有効回答は747件だった。役職は部長クラス以上が21%、課長クラスが32%、係長・主任クラス以下が44%だった。インターネットで調査が行われた。

6割が取り組み遅れと認識

 調査結果によれば、「あなたの勤務先では、『デジタルマーケティング』に対する取り組みが進んでいると思いますか。」(単一回答)という問いでは、「進んでいる」(4%)、「やや進んでいる」(17%)と、デジタルマーケティングに対する取り組みが進捗している企業は2割程度にとどまった。

  一方、「やや遅れている」(30%)、「遅れている」(30%)と、進んでいないと感じている企業が約6割にも上った。さらに、回答者の所属部門別に集計すると、経営部門の回答が「やや遅れている」(33%)、「遅れている」(37%)となり、遅れているという意識が経営部門においてより強いことがわかった。

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デジタルマーケティングの取り組みの先進度

課題は人材不足、投資対効果の明確化、経営層の理解

 また、デジタルマーケティングへの取り組みの遅れの理由について、「勤務先において、『デジタルマーケティング』への取り組みが遅れているのは、どのような要因があるからだとお感じになりますか。」(複数回答)との問いについても回答を得た。

 回答のTOP3は、「リードする人材がいないから」(36%)、「投資対効果を明確にできないから」(24%)、「経営層が重要性を認識しないから」(22%)だった。

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デジタルマーケティングが遅れている要因

 「人材不足」に関して具体的に記述してもらった内容からは、知識や教育の不足といった基本的な事柄に加えて、担当組織がないことや人材配置の不適切さなど体制面の問題を指摘する回答も見られたという。

 「効果の明確化の難しさ」については、測定基準や評価方法を適切に設定することの困難さのほか、施策を行うだけで検証ができていないという指摘もあった。

 「経営層の認識不足」については、勉強不足や新しいことへの理解が追いつかない現状に加えて、経営層がマーケティング活動をコストとしか見ていなかったり、自らがマーケティング不要の部署の出身者だったり、あるいは親会社からの天下りで顧客指向ではないといった、より根本的な問題も挙げられたという。

 またその他には、「ノウハウを蓄積できていないから」(21%)、「先進的なことに取り組む社風・文化がないから」(21%)との意見も見られた。

 一方、デジタルマーケティング関与者に限った回答では、「経営層が重要性を認識しない」が平均より12ポイント高い34%となり、人材不足と並んで最も多い回答となった。

取り組みを進めるのは経営層の理解

 一方で、「勤務先において、『デジタルマーケティング』への取り組みが進んだのは、どのような要因からだとお感じになりますか。」(複数回答)という問いに対して、「経営層が重要性を認識したから」(23%)という回答が最も多く、次いで「マーケティング担当者の興味・関心・感度が高いから」(19%)、「先進的なことに取り組む社風・文化があるから」(16%)、「リードする人材がいたから」(14%)という結果になった。

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デジタルマーケティングが進んだ要因

 中でも、マーケティング部門の回答者では「マーケティング担当者の興味・関心・感度が高いから」(27%)と「リードする人材がいたから」(24%)が全体より比率の高い回答となった。

 この質問と先の質問の回答から、企業のデジタルマーケティングの進み方には、「経営者の認識」と、デジタルマーケティングを「推進する人材の有無」が大きな影響を与えることがわかったという。

約8割がデジタルマーケティングの重要性を認識

 また、Q「あなたの勤務先において、『デジタルマーケティング』は今後のマーケティング活動においてどの程度重要になると思いますか。」(単一回答)との問いでは、回答者全体では「非常に重要」(35%)、「やや重要」(42%)と、デジタルマーケティングの重要性に対して肯定的な回答が約8割を占めた。

 一方で「あまり重要ではない」(9%)、「まったく重要ではない」(2%)という否定的な回答は全体の1割程度にとどまり、デジタルマーケティングの取り組みが企業において重視されている状況が読み取れた。

 さらに、回答者の所属部門別に集計すると、マーケティング部門でデジタルマーケティングが「非常に重要」と回答した人は全体の平均より高い43%となり、マーケティング部門に所属する回答者ほどデジタルマーケティングを重要視していることがわかったが、経営部門も「非常に重要」(34%)、「やや重要」(36%)となり、営業部門でも「非常に重要」(32%)、「やや重要」(46%)と、経営や営業部門でも7割以上がデジタルマーケティングは重要であると回答していた。また、従業員数の多い企業の回答者ほど、デジタルマーケティングを重視する傾向にあることがわかった。

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デジタルマーケティングの重要度

マーケティング投資のデジタル比率は平均27%、今後も増加

 デジタルマーケティングの目的と狙いについては、「顧客への対応スピードのアップ」(22%)、「デジタルチャネルによる新しい顧客層へのリーチ拡大」(20%)、「顧客情報のより詳細な把握」(19%)など、顧客のデジタルへのシフトに合わせ接点を増やしつつ、デジタルならではの深い情報を把握していくといったことが主な目的となった。

 また、重要性の認識にあわせて、Q「勤務先のマーケティング投資(宣伝・販売促進)のうち、『デジタル』が占める割合はどの程度ですか。3年前、現在、3年後の状況を0%から100%までの数値でお答えください。」との質問では、3年前は18%、現状は27%であるデジタルの平均比率は、3年後に38%にまで増加すると見込まれ、今後、企業におけるマーケティング投資に占めるデジタル比率は右肩上がりに増加することが、回答者の見解から明らかになった。

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マーケティング投資における「デジタル」の比率

 また従業員数の少ない企業ほどデジタル比率は低い傾向にあるが、今後のデジタルの増加トレンドは企業規模によらず共通であることがわかった。

 アドビはこれらの調査結果をみて、「海外ではCEO自らがマーケティングの重要性を理解し、CMOが積極的にデジタルを含めた顧客中心のマーケティングを促進していく状況とは違い、各種コメントからは経営層の理解、組織構造、人材育成などの日本特有の問題も見えてきた」と指摘している。

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