ITエンジニアも知っておきたいちょっとハードなトピック
0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
ISO20000(ITサービスマネジメント規格)では、ITサービスにおけるサービス提供プロセス、関係プロセス、解決プロセス、統合的制御プロセス、リリースプロセスを定義し、その管理方法を定めている。そうした中、今回ご紹介するのが「CMDB」である。CMDBの本質を理解すれば、おのずとプロセス管理の本質も見えてくるだろう。ソフトバンクテレコム CSR 推進部 兼 ソフトバンクBB モバイルネットワーク本部の尾崎雅彦氏が解説する。
システムやネットワークの複雑化によってもたらされたプロセス管理
2001年以降のADSLやFTTHの普及に伴い、複合的なサービスを提供するために、複雑なインフラストラクチャーを構成しなければならなくなった。そして、システムやネットワークの複雑化による諸問題はもはやテクノロジーだけで解決できるものでない。ISO9001(品質マネジメント規格)のようなプロセス管理の手法が必要となってきているのである。ISO9001:2000は従来から製造業などで採用されているが、サービス業などからは事業継続管理などへの配慮に欠けると規格としての欠陥を指摘されていた。そこで、ISO20000(ITサービスマネジメント規格)では、ITサービスにおけるサービス提供プロセス、関係プロセス、解決プロセス、統合的制御プロセス、リリースプロセスを定義し、その管理方法を定めている。そうした中、今回ご紹介するのが「CMDB:ConfigurationManagement Database=構成管理データベース」である。CMDBの本質を理解すれば、おのずとプロセス管理の本質も見えてくるだろう。
構成管理
読者の皆さんは「構成管理」という言葉をご存じだろうか? ソフトウェア開発では「SCM:Software Configuration Management 」の意味で用いられることがあるが、ここでは、ISO20000でサービスおよびインフラストラクチャーのコンポーネントを定義し、制御し、かつ正確な構成情報を維持することを目的とする行為のことを意図している。構成管理の狙いとするところは、ITコンポーネントの識別、記録および報告である。次の3つ、(1)バージョン、(2)構成要素、(3)それぞれの関係を含む。そしてそのコントロール対象となるのが、ソフトウェア、ハードウェア、関連文書である(
図1)。
図1 構成管理のスコープ |
|
構成管理は、マネジメントシステムのもと、SLAと共に前述のISO20000が定義するサービスの各プロセスを結合したものである。すべてのプロセスから参照されるものだが、完全に独立したプロセスとして設計しても機能しないのは自明の理である。そこで、このISO20000やITILが定める各プロセスをバックアップするのが「CMDB」なのである。構成管理は、他のプロセスと相互に補完し合い、依存し合っており、特にITILが分類するサービスサポート(Service Support)およびサービスデリバリー(Service Delivery)のプロセス全体と密接に関係している。言い換えれば、構成管理は情報リソースとして各プロセスの実行を担保しており、CMDBが前回述べたSLAと並びITサービスマネジメント・フレームワークの中核となるのもご理解いただけると思う。余談だが一部例外もある。金融資産会計は、CMDBによって管理するのではなくコスト管理で行う。
CMDBとは?
このように、構成管理の主役は構成管理データベータ「CMDB」にあるといったも過言ではない。サービスや組織は、表計算ソフトや既存のアプリケーションソフト、紙文書などにより、何らかの構成管理をすでに実行していることが多い。CMDBはこうした構成管理を簡潔にし、マネジメント手法に昇華する役割を持つが、昨今の複雑なインフラストラクチャではCMDBを含むサポートツールを利用する必要がある。CMDB自体は、インシデント管理、問題管理、既知のエラー、変更管理、リリース管理といったプロセスを含め
たすべてのシステム・コンポーネントとの関係を保持することになる。
関連タグ