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  • 2025/02/07 掲載

三菱UFJ銀行がIOWNに参画する深すぎる理由、金融サービスの何が変わるか?

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本稿では、NTTグループが注力するIOWNについて取り上げ、金融業界への影響を中心に議論を展開する。筆者はNTTグループ企業に所属しているが、IOWNの直接的な業務には関与しておらず、公に公開されている情報を基に執筆している。なぜ三菱UFJ銀行がIOWNのプロジェクトに参画する理由や今後の展望について、筆者の視点から考察を行う。
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IOWNと金融
(Photo/Shutterstock.com)

そもそもIOWNとは何か?

 IOWNとはInnovative Optical and Wireless Networkの略で、NTTが2019年から提唱している構想であり、光技術を中心とした革新的技術によって低消費電力・低遅延・大容量通信を実現する、第6世代移動通信(6G)時代を見据えたネットワーク・情報処理基盤を指している。

 IOWN構想は特定の技術を指すものではなく、さまざまな先端技術要素を組み合わせて便利な世界を目指そうとするための技術群のことを指すため、内包する技術要素はかなりの幅がある。

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IOWN構想
(出典:NTTデータ 報道発表

 このIOWN構想が打ち出された背景としては、社会の情報化がますます進展していく中で我々の生活は大きく変化し、またそれに多様な価値観が出てくると考えられる中、データ利用の増加に伴う既存の情報インフラや消費電力が限界を迎えつつあるということが挙げられる。

 生成AIに代表されるように、非常に多くのデータ量が飛び交い、また非常に多くの電力を使われるという状況は今後の社会の持続的成長にとっては大きな懸念事項である。

 こういった課題に解決すべくNTTの強みである光技術と従来の電子技術を融合させた「光電融合」技術を中心にIOWNは構想されているといっていいだろう。

IOWNを構成する主要技術

 IOWNを構成する主要技術として、「オールフォトニクス・ネットワーク」「デジタルツインコンピューティング」「コグニティブ・ファウンデーション」が挙げられる。それぞれについて簡単に説明する。

・オールフォトニクス・ネットワーク(All Photonic Network:APN)
 ネットワーク回線だけでなく、中継装置、端末、チップの中の通信に光技術を適用することにより、これまでの電子ベースの技術では実現が困難であった「大容量化」「低遅延化」「低消費電力」の実現を目指している。要は光の適用範囲を極大化する中でこれまでの電子ベースの技術の限界を乗り越えようとしているいうことである。

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オールフォトニクス・ネットワークの目標性能
(出典:NTT報道発表
・デジタルツインコンピューティング(Digital Twin Computing:DTC)
 現実世界を構成するモノ、ヒトなどをデジタル空間上にリアルに再現し、高度なシミュレーションを可能とする技術のことをデジタルツインコンピューティングと言うが、デジタルツインを用いることで、デジタル空間内で対象物に関する現状分析、将来予測、可能性のシミュレーションなどを行うことが可能となる。これにより社会課題の解決や革新的サービスの創出を目指している。

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デジタルツイン
(出典:NTTデータ 報道発表
・コグニティブ・ファウンデーション(Cognitive Foundation:CF)
 ここまでの説明ででてきたような低消費電力・大容量・高品質のコミュニケーションや、大規模なモノ・ヒトの相互作用の再現・試行をシミュレーションするためには、さまざまなコンピューティングリソースを適切に選択・利用することが必要となる。コグニティブ・ファウンデーションは、さまざまな拠点に散在するデータを収集、処理、記憶、通信する手段を連携させて、サービスの構築や運用に必要なリソース調整する基盤である。
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コグニティブ・ファウンデーションとネットワーク3層モデル
(出典:NTT 報道発表
 以上のAPN、DTC、CFがIOWNの3つの主要な技術であるが、これに加えて最近はIOWN PETs(Privacy-Enhancing Technologies)と呼ぶ高セキュアで効率的な分散データ管理と秘匿処理を行う領域にも力を入れている。

 この領域はいわゆるデータスペースと言われている概念にも非常に近く、単に高速、大容量のデータ伝送だけではなく実際にデータを利活用するにあたってセキュアであることを支援している。 【次ページ】三菱UFJ銀行がIOWNに参画する深すぎる理由
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