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- 2025/01/23 掲載
欧州や米国で実装間近「組込型金融×デジタル資産」、日本の遅れの原因はAIか?
国内外で噴出「ステーブルコイン」「デジタル資産規制」問題
小俣氏は、より広範囲なサービスを実現する「オープンファイナンス」時代における、銀行のサービス拡大の課題として「ステーブルコイン」と「デジタル資産規制」の現状に触れた。欧州では改正支払サービス指令「PSD3」の施行を2026年に予定しており、デジタルユーロはATMからモバイルバンキング・アプリまですべてのアップデートが必要となることから、現在、2028年から2030年の間に開始される予定である。
デジタルユーロは「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」に位置付けられるが、STASIS Euro(EURS)やCircle EURC(EURC)のような分散型のステーブルコインも存在する。
金融機関が発行に関わる可能性もある中、MiCA(Markets in Crypto-Assets Regulation)という暗号資産(仮想通貨+NFT) 規制がすでに制定されている点も意識しなければならない。英デジタルポンドの開始時期は、1月14日に「少なくとも2年間は見送り」と報道された。
FiDA(Financial Data Access)
データの収集・管理・流通基準を策定。金融機関間でユーザーデータを共有できるようにするオープンファイナンス構築ための広範な欧州連合(EU)戦略の一部。この規制によると、金融サービス事業者間のデータ共有を強化し、顧客のプライバシー保護も強化することとなる。金融機関間での預金口座移管(特に普通預金)もしやすくなり、金融サービスの向上と金融機関を含む金融サービス事業者間の競争をさらに促すものと期待されている。
(参考──英CASS(Current Account Switch Service)
PSR(Payment Services Regulation)
各国への指令PSD3を補足する各国に共通した欧州連合全体細則。不正防止・消費者の権利・決済サービスの運用面など、実務的な問題に対処することを目的としている。たとえば、強力な顧客認証SCA(Strong Customer Authentication)として、物理的なカード取引だけでなくインターネット取引でも電子決済が多要素認証で実行されることの保証やデータ保護などを規定する。
DORA(Digital Operational Resilience Act)
NIS2指令(Directive on Security of Network and Information Systems 2) と共に金融サービス・サイバーセキュリティ法規制の1つ。主に「ICTリスク管理」「ICT関連インシデント報告」「デジタル運用のレジリエンステスト」「ICTサードパーティのリスク管理」「情報共有」の5項目に注目している。2025年1月に適用が開始された。
日本でも2023年6月1日に施行された改正資金決済法によって、ステーブルコインの流通や発行が可能になり、一部の地方銀行が取り組み始めている。
米国のCBDCはトランプ政権となったため棚上げされる方向で、ステーブルコイン(USDC、PYUSD、RLUSD、Tetherなど)や仮想通貨(Bitcoin、Ethereum、Meme Coinsなど)の取り扱いと法規制(FIT21 Bill)が優先される見込みだ。
日本銀行は米国や欧州の動向を見つつ対応を検討することが予想される。一方で、中国とインドがデジタル元やデジタルルピーを試行する中、ロシアは2025年7月1日からデジタルルーブルを公式に開始する予定である。
Personal Financial Data Rights(Dodd-Frank Act Section 1033 ruleに基づきCFPBが発令)
オープンバンキング最終規則として個人の金融データへの権利に焦点を当てたもの。金融サービス提供業者は、金融商品やサービスに関する取引データやその他の情報を、標準化された電子フォーマットで消費者や認定された第三者が利用できるようにしなければならない。
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