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- 2024/12/06 掲載
米国で組込型金融がとんでもないことに、BaaS企業「シナプス倒産」から何を学ぶか?
PSD3の議論など各国の最新の動向
前回は、日本でも多くの金融機関が取り組む「BaaS(Banking as a Service)」の潮流や成り立ち、オープンシステム化の流れについて2010年代までを解説した。今回は2016年以降を紹介する。欧州は2016年に欧州連合(EU)が改正支払サービス指令「PSD2(Revised Payment Services Directive)」を策定、2021年までにすべてのEU金融機関へPSD2に基づく参照系APIと更新系APIの整備を求めたことにより、金融業界全体がデジタル化に向かう転換点となった。
英国では2016年のブレグジット後、PSD2ではなく「オープンバンキング」という方針が採られ、推進団体として「OBIE(Open Banking Implementation Entity)」が設立された。OBIEはPSD2同様に2021年で終了している。
2022年以降は次のインダストリアルデザインとなる「オープンファイナンス」の時代が開幕、技術的な観点では、BaaSの時代を迎えたことになる。
そして、2023年6月、PSD2に続く枠組みとして「PSD3(Payment Service Directive3)」案が公表された。PSD3は、2026年の施行を目指して現在議論されている。
英国ではOBIEに代わり、オープンファイナンスの推進団体として「CFIT(Centre for Finance, Innovation and Technology)」が設立され、2022年から活動を開始した。CFITは2024年に試行段階の2年間の実験結果を発表している。また、米国でも2022年にコミュニティバンクを対象としたBaaS協会が設立された。
小俣氏は「一方、日本の金融庁の施策は特に進展がなく、2018年の参照系・更新系APIの発表で止まっている状況だった。ただ、日本の金融庁でも現在、オープンファイナンスへの内部検討が開始されている」との現状を説明する。 【次ページ】英国の動向:CFIT連合による実証実験
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