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2017年07月14日

セコム発展の裏には「戦いの原則」に沿った「創造的破壊」があった

英陸軍の軍人だったJ.F.C.フラーが確立した「戦いの原則」には「集中の原則」「兵力節用の原則」が記されている。陸上自衛隊で第71戦車連隊長、陸将補を務め、『戦術の本質』(サイエンス・アイ新書)の著者でもある木元 寛明氏は、「戦いの原則は経営にも通じる」と断言する。そこで、戦いの原則を無視してガダルカナル島作戦で壊滅した日本軍の失敗を検証しながら、木元氏が退官後、幹部社員の指導にあたったセコムにおける「選択と集中」の神髄を振り返る。

執筆:木元 寛明

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「集中の原則」「兵力節用の原則」は、本当に「経営にも通じる」のか

(© Ezume Images – Fotolia)

「集中の原則」を無視して壊滅した日本軍

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 戦いの原則(Principles of war)は、人類の長い戦いの歴史から演繹的に導かれたものです。戦いの原則はいくつかあり、個々の原則に優先順位はありませんが、力と力が衝突する戦場の焦点では、古来、「集中の原則(Mass)」が重視されました。

 「集中の原則」は、戦闘力の効力を決定的な「時間」と「場所」に集中することです。

 「時間に集中する」とは、多数の決定的地点に対して同時に戦闘力を指向することです。2001年9月11日の米本土における航空機による4か所の同時多発テロのイメージです。

 「場所に集中する」とは、1つの決定的地点すなわち決勝点に対して戦闘力を指向することです。古来、陸戦における戦勝の決め手として重視されてきました。

 集中の原則の反面教師となるのが、日本軍のガダルカナル島作戦です。ガダルカナル島作戦は、1942(昭和17)年8月の米海兵隊上陸から1943(昭和18)年2月の日本軍の撤退までの作戦です。

 日本陸軍は連隊、旅団、師団、2個師団を逐次に投入し(これは戦術のタブーといわれる兵力の逐次分散使用です)、その都度撃退されたのです。日本海軍は戦艦などで、決定的地点である米軍飛行場(ヘンダーソン基地)を砲撃するも、陸軍部隊との協同を欠き、一時的な「花火」にすぎませんでした。

 日本軍には、「決勝点に陸海空戦力を集中発揮する」という統合作戦の発想自体がなかったのです。

捨てるべきだった「ガダルカナル島」

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『戦術の本質』(木元 寛明 著 )

 そもそも、ラバウル(現・パプアニューギニア)から南東に約1000kmも離れたガダルカナル島は、「日本軍にとって死活的に重要な正面だったのか」という根本的な疑念もあります。米軍の上陸に自動的に反応して、行き当たりばったりで消耗戦に引きずり込まれ、太平洋戦争の陸戦におけるターニングポイントとなった、というのが実態です。

 「兵力節用の原則(Economy of Force)」は、第二義的な努力正面には必要最小限の戦闘力を配分することを指します。第二儀的な作戦に最小限の戦闘力を配分することにより、決定的な作戦に戦闘力を集中できます。これは、想定されるリスクを許容することですが、戦いではリスクを避けることはできません。

 ガダルカナル島は、日本軍の攻勢終末点(攻勢勢力の限界に達する点)を超えており、米軍との戦力集中競争をしてはいけない場所です。統帥部(大本営)は沈着冷静に大局を判断して、真の重要地点に戦力を集中すべく、ガダルカナル島を思い切って捨てるべきでした。

 孫子は「至る処(ところ)守らんとすれば、至る処弱し」といっています。「すべてを守ろうとするものは、すべてを失う」という箴言(しんげん)もあります。

 戦力は無限ではありません。この有限の戦力(資源)をどこかに集中すると、他の方面に使用する戦力を抑えなければならないことは自明の理です。これが「兵力節用の原則」の本質です。

 「集中の原則」および「兵力節用の原則」は相互に矛盾し相反する内容ですが、手の甲と手のひらのように不離一体のものです。旧陸軍の『作戦要務令』は「戦捷(せんしょう)ノ要ハ、有形無形ノ各種戦闘要素ヲ綜合シテ、敵ニ優ル威力ヲ要点ニ集中発揮セシムルニ在リ」と明記しています。

【次ページ】セコムに見る経営者の「戦いの原則」応用術

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