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2017年07月05日

ガートナー アレクサンダー・リンデン氏が解説

現在のAIは人工知能ではなく「Amazing Innovation」でしかない

機械学習やAI(人工知能)に対する関心は高まるばかりだが、現在のAI関連プロジェクトの多くが、初期段階でコストがかかりすぎる、データが不足している、スキルを持った人材がいないなど、大きな困難に直面しているのも事実だ。そもそもAIや機械学習とはいかなるものなのか、現在のテクノロジーの限界はどこにあるか、成功を掴むために組織がすべきことは何か――。ガートナーのリサーチ部門でデータ・サイエンスや機械学習、高度アルゴリズムを専門とするバイスプレジデントのアレクサンダー・リンデン氏が解説した。

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ディープラーニングをどう活用すればよいのか

(© zapp2photo – Fotolia)

※本記事は「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2017」の講演内容をもとに再構成したものです。

AIは人間のように思考するわけではない

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 ガートナーは特定テクノロジーを評価する指標として、期待度の変化を時系列で捉えるハイプサイクルを示している。だが、AI(人工知能)については、このハイプサイクルに当てはめて語ることができないという。

 その理由について、ガートナーリサーチのアレクサンダー・リンデン氏は、「AIの本質は、最近まで人間によってしか解決できなかった複合的なタスクを同等もしくはそれ以上に解決する機械の能力にあり、あくまでも社会技術的な構成概念であるからだ」と説明する。

 このAIのメガトレンドの中で、問題解決のパラダイム・シフトを起こしているのが機械学習である。リンデン氏は「昔ながらのエンジニアリングでは問題を小さな単位に分解して理解し、それらを一つひとつ解決し、最終的にまとめると全体の解になるというアプローチをとってきた。ただ、このやり方では、顧客の離脱防止や不正の検出、故障予知といった現在のビジネスが抱えている課題には対応できない。そうした中で機械学習が注目されはじめた」と語る。

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(クリックで拡大)

ガートナーがAIについてのハイプサイクルが作れなかったのには理由がある


 実際、このわずか5年ほどで機械学習は劇的な進歩を見せた。きかっけとなったのは、2012年に機械学習の一種のディープラーニング(深層学習)が画像認識において画期的な成果を上げたことである。

「IMAGENET Large Scale Visual Recognition Challenge 2012と呼ばれる画像認識コンテンストにおいて、それまで約30%あたりで推移してきた誤分類率が一気に15%に低下した。その後もディープラーニングは大きく前進し、2014年後半から2016年にかけてマイクロソフトとグーグルのグループが、ついに人間を超える認識レベルを達成した」(リンデン氏)

いまのAIは人工知能というより「Amazing Innovation」の略

 ただ、こうした進化を評価する一方で払拭しておかなければならないのが、AIに対するさまざまな誤解である。リンデン氏は、次のように訴える。

「AIは人間のように思考するわけではない。『AIはわれわれの仕事の85%を奪うか、われわれすべてを殺す』といった懸念が広がっているが、これは大きな誤りだ。どんなテクノロジーも人間の代わりになれるわけではない。バイドゥの人工知能研究所長であるアンドリュー・ング氏による『キラー・ロボットの台頭を恐れることは、 火星の人口過剰を心配するようなものだ』という認識こそが正しい」(リンデン氏)

 そもそも我々は、いまだに脳の一部しか理解できていないのだ。リンデン氏は、「もし人間の脳が非常に単純で、われわれが脳を理解できるとすれば、われわれは非常に単純であり、脳を理解することはできない」というIBMトーマスワトソン研究所のシニア研究員であったエマーソン・プー氏の言葉を引用する。

 そして、「いまのAIは人工知能というよりも、Amazing Innovation(驚くべきイノベーション)の略と捉えるべきと考える。広範囲にわたる問題に対応できる汎用的なAIは20年以上も空想のままで、現在実現されているのは特定領域の問題解決のために設計された『狭いAI』に過ぎない」と強調する。

【次ページ】シャローラーニング(浅層学習)とは?

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