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2017年05月15日

ガートナー 亦賀氏が指摘する「成功のカギ」とは?

人工知能のビジネス活用方法、AIエンジン20+6種のポジションをまとめて理解する

最近特に注目される人工知能(AI)だが、多くの誤解を生んでいるテーマでもある。現在、人工知能を検討している企業、もしくは今後そこに向かっていく企業が、着実に次のステージに入るためには、まず基本的な誤解を払拭しておかなければならない。また、人工知能の世界は人材の獲得競争になっていることを理解する必要がある。ガートナー リサーチ バイスプレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀忠明氏が、人工知能のビジネス活用で頓挫しないためのポイントを解説する。

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人工知能への「過度な期待」を捨てて見える現実解とは

(© phonlamaiphoto – Fotolia)

※本記事は、「ガートナーITインフラストラクチャ&データセンターサミット2017」の講演内容をもとに再構成したものです。

人工知能に誤解のある企業の9割は活用を頓挫

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 人工知能(AI)の定義は一般的、学術的にも曖昧だが、大まかには「人間の脳に相当もしくはそれを超えるレベルのテクノロジー、考え方、方法論および進化論」と捉えることができる。

 そして現在の人工知能は、ガートナーのハイプサイクルによると過度な期待のピーク期にあり、今後現実とのギャップに直面する中で、短期的には幻滅期に向かうと予想される。人工知能に対する関心は高まるばかりだが、一方で多くの誤解を生んでいるテーマでもあるのだ。

 具体的に世の中にどんな誤解が蔓延しているかというと、たとえば「すごく賢い人工知能が既に存在する」「IBM Watsonのようなものや機械学習、深層学習を導入すれば、誰でもすぐに『すごいこと』ができる」「人工知能と呼ばれる単一のテクノロジーが存在する」「人工知能を導入するとすぐに効果が出る」「『教師なし学習』は教えなくてよいため、こちらの方が良い」「ディープ・ラーニングが最強である」「アルゴリズムをコンピュータ言語のように選べる」「誰でもがすぐに使える人工知能がある」「人工知能とはソフトウェア技術である」といったものが代表的だ。

 これらの誤解は、「結局、人工知能は使い物にならないため意味がない」という挫折を後々、招きかねない。

 人工知能に関する誤解を抱えたままの企業の90%が、2020年までにデジタル・ビジネスの推進で頓挫するという予想もある。現在、人工知能の活用を検討している企業が、着実に次のステージに進むためには、まずは誤解や神話を払拭する必要がある。

人工知能とは何か?過去と現在、そして未来のテーマ

 昨今、人工知能と併せて「シンギュラリティ(技術的特異点)」というキーワードが注目されるようになった。2045年に全人類の叡智を超える人工超知能(ASI: Artificial Super Intelligence)が出現するというものだ。また、その前段階として2030年までに汎用人工知能(AGI: Artificial General Intelligence)が実用化すると予想されている。

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(クリックで拡大)

人工知能とは何か。現在は機械学習や深層学習がテーマの中心で、AGI(汎用人工知能)やASI(人工超知能)はまだこれからのテーマだ

(出典:ガートナー)


 こうしたASIやAGIの実現に向けて、さまざまな基礎研究や技術開発が進められているのは事実である。だが、決して間違ってはならないのは、これらの技術を今すぐ入手できるわけではないことだ。しっかり時間軸を持って人工知能を捉えなくてはならない。

 ASIやAGIを「強いAI」(GPMI:General Purpose Machine Intelligence)とするならば、現在の人工知能はまだ特定の目的にしか対応できない「弱いAI」(SPMI:Special Purpose Machine Intelligenceである。

 現在、人工知能と呼ばれているもののほとんどは「赤ちゃん」か「子ども」である。上手く育てることができれば賢くなるが、そうでない場合はそれほどのものにはならない。役立つ「大人」にするためには、テクノロジーだけではなく、育て方も非常に重要であることを認識しておいてほしい。これが人工知能のリアリティだ。

 したがって、必ずしも「教師なし学習」が優れているという話にはならない。「教師なし学習」は、機械学習におけるさまざまな選択肢の1つにすぎないのだ。

 たしかに「教師なし学習」は、商品の分類やレコメンデーション、異常検知などデータのグルーピング(クラスタリング)には有効である。

 しかし、スパムメールのフィルタリングや画像認識、将来予測、天気予報といった用途では、正解データを与えて学ばせる「教師あり学習」がはるかに効率的だ。また、ロボットや品質管理、ゲーム、ナビゲーションといった用途では、より良いアウトプットに対して報酬を与えて学ばせる「強化学習」という方法が一般的に採用されている。

 同様にディープ・ラーニングが最強というのも大きな間違いだ。最近では100層を超えるディープ・ラーニングも登場しているが、層の数が多ければ多いほど優れているという単純な話ではない。たとえば装置の制御などの分野では、単層(1層)や多層(2〜4層程度)の機械学習でも十分な精度を得ることができる。

【次ページ】AIエンジン20+6製品のポジション、手頃価格の深層学習用マシンとは?

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