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  • 2017/03/29 掲載

2021年までに日本の「データセンター」に何が起こるか?ガートナーが4つの予測を発表

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ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は29日、2017年以降のデータセンターに関する展望を発表した。これまでデータセンターは、企業にとってITインフラストラクチャを安定的かつ安全に運用するための場所だったが、これに大きな変化が起こるという。ガートナーが指摘する、2021年までに日本企業のデータセンターに起こる4つの予測を紹介しよう。
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ガートナーが予測する2021年までに起こるデータセンターの変化
(© sdecoret – Fotolia)



東京五輪終了後の2021年までに日本のデータセンターに起こる動き

 ガートナーが発表した「2017年以降のデータセンターに関する展望」によると、2020年の東京オリンピックを終えた2021年までに、日本企業のデータセンターに次の4つの動きがあるという。

(1)2021年までに、日本のユーザー企業の30%は、デジタルビジネスに向けたデータセンター戦略の見直しに着手するが、その大半は単なるクラウドサービスの利用実績を作ることにとどまる

(2)2021年までに、日本の企業データセンターの30%が、施設の老朽化や能力不足に対処するためデータセンターを移転せざるを得なくなり、移転プロジェクトの計画、推進、資金確保に多大な労力をつぎ込むことになる

(3)2021年までに、企業の70%で、国内データセンターにおける現行ディザスター・リカバリ(DR)計画の実効性の低さが認識されるが、そのほとんどは放置されたままとなる

(4)2021年までに、データセンター間ネットワークの多様化と共にもたらされるデジタルビジネスの拡大の機会を生かせる企業は、日本において全体の10%に満たない

2021年までに「3割の企業はデータセンター戦略を見直す」が…

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 ガートナーによれば「2021年までに日本のユーザー企業の30%がデジタルビジネスに向けたデータセンター戦略の見直しに着手する」というが、その大半は単なるクラウド・サービスの利用実績を作ることにとどまるという。

 多くの企業は、デジタルビジネスやIoTがデータセンターの展開に何らかの影響を及ぼすと考えているものの、明確な見通しを持っていない。

 実際、日本企業を対象にしたガートナーのユーザー調査では、デジタルビジネスやIoTが3年以内に自社のデータセンター展開に大きな影響を与えるという回答が全体の61%を占めるが、データセンターの将来像を描こうとする企業の意識は低いままである。

 そうした企業は、アプリケーションやデータの散在という足元の変化を認識しつつも、将来のデータセンター像として、情報とデータへのアクセスをコントロールできる「クローズド」なシステムを想定し、その運用と維持管理に注力している。

 その結果として、彼らに何が起こるのか。ガートナーでは「短期的にはクラウドの利用や自社で利用するサービスの多様化が進むものの、長期的にはパフォーマンスおよびセキュリティの一貫した保証とガバナンスを欠き、デジタルビジネスにおける俊敏性という点でも行き詰まる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。

2021年までに3割の企業がデータセンターを移転

 またガートナーは「2021年までに日本の企業データセンターの30%が施設の老朽化や能力不足に対処するためデータセンターを移転せざるを得なくなり、移転プロジェクトの計画、推進、資金確保に多大な労力をつぎ込むことになる」としている。

 ガートナーが2016年に日本で実施した調査では、自社保有か外部利用かを問わず、回答者の36%がデータセンターの老朽化やキャパシティ不足への対応が最優先の課題だと認識している。さらに、6割近くが、10年後のデータセンター利用面積は拡大しているだろうと予測している。データセンターを利用する企業は、施設の老朽化やキャパシティ不足の問題が拡大しているのだ。

 しかし、企業の対応は全般的に緩慢だ。既存データセンターの刷新や外部データセンターの新規利用は、施設の建設や移転を伴う大規模で複雑なプロジェクトとなりがちだという。

 多額の費用が発生するため、ユーザー企業はデータセンター刷新に関わる決断を先延ばしにする傾向にあり、結果として、具体的に動きだすのは切羽詰まった状況に陥ってからとなってしまう。

 特に、外部データセンターを利用している企業では、プロバイダーから移転を提案されて初めて老朽化を意識することも少なくない。

 こうした事態に対処するために、企業は自社データセンターの長期的な展開方針を確立しておかなければならない。その上で、老朽化やキャパシティ不足に対応したデータセンターの刷新については早期に決断し、時間的な余裕を持って進める必要があるとガートナーは指摘する。

2021年までに7割の企業が「DR計画の実効性の低さ」を認識

 企業における事業継続性に対する取り組みは広く進められており、多くの企業が事業継続計画 (BCP) を策定している。ガートナー調査では、回答企業の68%が、データセンターの1日24時間/週7日の運用は必須であるとしており、デジタルビジネスに向けてその重要性はますます高まっている。

 しかし、ITにおけるDR対応は、計画の難しさや投資コストが障壁となり、必ずしも十分なものになっていないと認識している企業も多い。

 ガートナーによれば「2021年までに企業の70%で国内データセンターにおける現行ディザスターリカバリ(DR)計画の実効性の低さが認識されるが、そのほとんどは放置されたままとなる」という。

 事が起こってからDRに対処するという通常のやり方では、収益を失うか、さらに深刻な結果を招くことになるだろう。ビジネス・オペレーションがITオペレーションに依存する傾向は強まっており、根本的な原因が何であれ、不測のサービス・ダウンタイムを大幅に短縮する必要が生じているからだ。

 企業のIT部門は、従来のIT DR管理(DRM)とITサービス可用性管理をITサービス継続性管理として一本化し、もしものときの保険ではなく、ITリソースの機能不全がいつでも発生し得ることを前提とする取り組みの一環として、DRサイトの構築や見直しを進めることが必要であろう。

【次ページ】データセンター間ネットワークが多様化しても「チャンスを活かせない」

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