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2017年03月15日

IHS Markitが解説

ディスプレイ市場調査:「折りたたみ式」も登場、次期iPhoneの有機EL化でどう変わるか

フラットパネル・ディスプレイ(FPD)市場で大きな影響を持つiPhone。その次期製品であるiPhone 8(仮)では、有機EL(OLED/AMOLED)ディスプレイが採用されるという噂がささやかれている。さらには世界最大の家電見本市、CES2017でもOLEDを採用した製品が数多く登場しており、車載用をはじめ、IoTの進展が新たな需要喚起につながる見通しも出てきた。ディスプレイ市場に詳しいIHS Markit テクノロジーの謝勤益(David Hsieh)氏がFPD市場の現状と今後の動向について解説する。

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新型iPhone登場や車載向け拡大でディスプレイ市場は今後どうなるのか?

(© kei907 – Fotolia)


FPD市場、ここ2〜3年の勢いはない

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IHS Markit テクノロジー
ディスプレイ部門
シニアディレクター
謝 勤益(David Hsieh)氏

 謝氏によれば、2022年までのFPD市場のCACR(年平均成長率)は、全体で約4%ぐらいの伸びを見込んでいるという。デスクトップPC、ノートPC、タブレット市場に関しては、ほぼ横ばいだが、テレビや車載用FPDなどが成長する見込みだ。

「製品別にみると、ノートPC用やタブレット用では、LCD(液晶ディスプレイ)パネルメーカーが新製品を開発し、付加価値のある製品開発につとめているところだ。テレビのLCDパネルの売上は改善し、成長が見込まれるだろう。ただし、ここ2〜3年前のような勢いはない。またOLED(有機EL)の成長も期待されるが、数値的には若干の修正が必要かもしれない」(謝氏)

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(クリックで拡大)

ディスプレイ市場規模の推移

(出典:IHS Markit)


 LCDテレビのサイズ推移を調べると面白いことがわかる。2007年からの10年間で、32インチから42インチへと進化しているのだ。これは年に1インチずつサイズが大きくなったという計算になる。

「2017年以降については、40インチ〜45インチがメインストリームになり、55インチ以上も成長していく。2023年ごろまでのLCDの平均サイズは、45インチぐらいになるだろう」(謝氏)

 ただし、供給メーカー側は2016年以降、財務問題や低稼働率・低効率の影響を受けるため、古い工場を閉鎖する予定も多い。謝氏は「たとえばサムスンやLGは、2017年に古い5世代の工場を閉鎖する予定だ。中国・BOEでも閉鎖の可能性がある」と指摘する。

 LCDテレビの平均サイズが大きくなり、古い生産工場が続々と閉鎖される一方で、中国や韓国では代わりになる9.5世代以降の新工場計画を前倒しで進め、市場に投入していくことが見込まれている。

「FPDの世界はカーレースと同じ。勝ち抜いて行くためには、市場投入の速さが最も重要だ。需給バランスを見ると、需要が大きい年に大きな投資が行われ、翌年には供給過多を繰り返す」(謝氏)。

 テレビに使われる大型LCDパネルに関しては、2016年の投資バブルによって、下半期に過去最大のパネル価格の上昇が起き、パネルメーカーの利益率は20%超まで広がった。2017年も32〜55インチのLCDテレビの利益は依然として堅調だ。ただしバブルのあおりを受け、2017年第2四半期からはLCDパネルの在庫調整が行われる可能性もあるという。

「中国では、低価格モデルの利益が少ない。たとえば65インチのLCDテレビは利益率が最も低く、55インチへの回帰が始まっている。これによりテレビブランドの競争が激化し、価格への圧力が増して、利益が低下するリスクが高まるかもしれない」(謝氏)

中国、インド、韓国の動向、工場建設ラッシュも一部停滞化

 世界的に見ると、液晶ディスプレイ工場の生産能力は、1枚のマザーガラスから取れる基板数(面取り数)を増やすことで年々進化してきた。マザーガラスのサイズと月/年間の処理数で、生産工場の生産能力と世代が表現される。

 まずアグレッシブに展開する中国では、大手のBOEやChinaStarの動向を注目すべきと謝氏は指摘する。

 第8世代(約2160×2460mm)の工場は、BOEでは中国内に3拠点、ChinaStarも2拠点あり、ここで量産稼働中だ。最新の第10世代(2880×3130mm)〜第11世代(3100×3440o)の工場も建設中で、すでに第10.5世代(2940×3370mm)の工場は安徽省合肥市に建てられている。一方、ChinaStarも同レベルの工場を深せんで着工した。

「そのほかCECやHKCも第10.5世代の工場を計画中で、サムスンやLGなどのメーカーも含めると、中国は2020年までに計15の工場が新たに稼働することになる。新しいLTPSやOLEDディスプレイについても、第5.5〜第6世代の工場が計14ほど稼働する」(謝氏)。

 また新興国のインドでも新工場の建設計画が始まっている。インドには液晶パネルの生産工場がなく、これまですべて輸入していた。

「インドのマハラシュトラ州に、Twinstarとインド政府が、国内初となる第8.5世代工場を建設する計画だ。2019年末には量産稼働を計画しているが、いま詳細を詰めている段階で最終計画は決定していない」(謝氏)。

 一方の韓国については、サムスンのTangjeong事業所にて、5.5/6世代のAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)の生産工場が稼働中だが、ほかにもテレビ向け10.5世代LCDパネル生産工場も建設しているところだ。

「LGでは第10.5世代のOLED生産工場を計画していたが、いまはペンディングの状態。これはTFT LCDの第10.5世代工場に移行しつつある。OLED TVの将来の成長は、パネルの供給に左右されるだろう」(謝氏)。

【次ページ】ディスプレイ市場の今後の動向、車載用が拡大へ

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