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  • 2017/01/20 掲載

ドイツのReflekt(リフレクト)とはいかなる企業か?AR/VR製造事例の最前線

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製造現場ではデジタル情報が共有され、現場作業員がこれまで閲覧できなかったセンサーデータや製品マニュアルがいつでも手に入るようになる――。このようなビジョン実現する製品を提供しているのが、ドイツのAR/VRベンチャー「Reflekt(リフレクト)」です。Reflektは、ボッシュなどの大手メーカーと協業し、タブレットを通して工業製品や自動車部品などを見ると、付加的な情報が画面に重ねて表示される製造現場向けARプラットフォーム「REFLEKT ONE」を開発しました。このREFLEKT ONEは、人為的ミスの抑制、作業時間やコストの削減、従業員教育の簡素化などで効果が期待されています。

執筆:在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

執筆:在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うとともに、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」を運営。

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ドイツのAR/VRプラットフォーマ―「Reflekt(リフレクト)」とは
(出典:Reflektプレスリリース)


ARによって作業効率を50%向上させられる可能性も

 製造現場には、まだカイゼンの余地が残されています。IoTの進展によって、さまざまな工業製品がネットワークにつながるようになり、製品の複雑化が進んでいます。

 そのため、経験のある技術者であったとしても、複雑な工業製品を十分に理解し、組み立てや修理を行うのは難しくなっています故障原因の特定が難しく人為的ミスを招いたり、時間や部品の無駄を費やしてしまったりする場合もあります。

 このような製造現場の作業効率向上に期待されている情報技術が「AR(拡張現実)」です。ARは、2016年に流行したポケモンGOにも使われている技術で、カメラを通して現実世界を見ると、液晶画面に付加的な情報が表示されるものです。

 製造現場の場合、組み立てや修理を行う工業製品をタブレットのカメラを通してみると、個々の部品の情報やセンサーが発する値をリアルタイムに表示する使用法が考えられます。ある調査では、ARを使うと作業員の人為ミスが減少しただけでなく作業スピードも速くなり、結果として50%の作業効率向上が実現したとの報告がありました。

センサーデータや製品マニュアルをARで統合するReflekt

 こうした中、製造現場のAR活用を進めているベンチャー企業が「Reflekt(リフレクト)」です。2012年にドイツ・ミュンヘンで創業された同社は、マイクロソフトのウェアラブルデバイス「Hololens」などを活用し、製造現場や製品開発の高度化を推進しています。画面上に情報をマッピングする技術や、視線追跡技術を駆使したソリューションを開発しました。

 自動車部品や電動工具を開発・製造するドイツの大手メーカー、ボッシュとのプロジェクトでは、バッテリーやタイヤ空気圧を監視するセンサーの情報を自動的に取得し、作業員が持つモバイルアプリ内に表示する診断システムを開発しました。作業員はタブレット端末を開くだけで、主要部品の位置とその状態を知り、問題の有無を理解できます。

 またReflektは、文書管理ソリューションを提供するDOCUFY(ドキュファイ)とともに、ARを活用した製品マニュアルシステムを共同開発しました。新人作業員への訓練や、新製品の問題解決など、作業員向けの詳細なマニュアルが必要になる場合は多くありますが、従来のマニュアルよりも理解しやすく、すぐにアクセスできるようにする必要がありました。ARを利用すると、製品のバーコードを読み込むだけで、インタラクティブなマニュアルが利用できます。マニュアル執筆から閲覧まで1か所で管理できるため、情報共有が容易になるのもメリットです。

「REFLEKT ONE」が製造現場のコスト削減と付加価値を創出する

 Reflektは現在、インダストリー4.0に対応した製造現場向けARプラットフォーム「REFLEKT ONE」を提供しています。インダストリー4.0の世界では、工業部品など全ての機器がデジタル情報でつながり、コスト削減や付加価値創出を目標とします。Reflektがセンサーデータをリアルタイムに取得し、作業員の故障診断に活用する手法は、インダストリー4.0の代表例と言えるでしょう。



 リアルタイムに取得されたデータはサーバー上で処理され、作業員がアプリを開いた際に、適切な位置に表示されるようになります。点検用のチェックリストや訓練用のガイドなどを組み合わせて表示できるため、ユーザーにとっての有用性が増します。作成済みのCADデータや3次元モデル、アニメーション映像などを現実の映像に重ね合わせて表示することも可能です。また、モバイルアプリはもちろん、ウェアラブルデバイスにも対応しています。

 これまでは数週間かかっていたARアプリの開発が、Reflektのプラットフォームを利用すれば、数時間の準備作業だけで作業員補助アプリが完成します。標準化により作業員支援のコストや提供スピードが削減されるのは、製造業の企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

【次ページ】インダストリアルIoT(IIoT)により人間の能力が拡張される

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