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- 2016/07/08 掲載
「すみません、子供がいるので…」 ”罪悪感”を抱えながら働くママをなくしたい
マムズラボ 佐藤にのさんインタビュー
妊娠・出産で退職した経験から「ママ業界に役立ちたい」と考える
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」の制定により、2016年4月1日より労働者301人以上の大企業では、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定が義務づけられている。とはいえ、大企業に勤めている人の割合は約3割。また女性の場合、非正規で働く人の割合も男性に比べると多いため、女性活躍推進法の恩恵を受けられる人はさらに少なくなる。マムズラボは、SBヒューマンキャピタルが運営するフリーランスママによるクリエイティブチームである。実務経験豊富なフリーランスママが、デザイン・ライティング・PRなどを中心にママならではの生活目線を生かしたソリューションを提供している。
このチームは突如生まれたわけではない。その母体となっているのが、2014年に佐藤 にのさんが立ち上げた、フリーランスママによる事業プロデュースチーム「クリエイティブマムズリンク」である。なぜ、このような組織を立ち上げることになったのか。
「ここでは海外の音楽を日本に紹介するというような業務を担っていました。会社に就職したことで、座組みを作って仕事を進めていくという仕事の仕方を覚えました」(佐藤さん)
しかし、当時の音楽業界では女性が妊娠・出産というライフイベントを超えて、働き続けるビジョンが描けず、退職。その後は、在宅勤務、フリーランスとして働き続ける中で、「ママ業界で何か役立つことをしたい」と考えるようになったという。そこで立ち上げたのが、「クリエイティブマムズリンク」である。
クリエイティブマムズリンクは、時間と場所にとらわれず“働きたいときに働ける”環境を、個々が自立・自律しながら働ける“自営型テレワーク”スタイルを提唱しており、この理念・ビジョンに賛同した全国のママを集めてチームを組み仕事をするというスタイルだ。
「これだけを見ると、現在のマムズラボと変わらないように見えるかもしれません。しかしあくまでも任意団体だったので、助け合い、支え合いはできますが、事業をスケールさせるのが難しかったのです。そんなとき、SBヒューマンキャピタルから声をかけていただき、今のような形となりました」(佐藤さん)
「謝ってはじめて仕事ができる人」から脱したい
佐藤さんがなぜママ達の役に立つことにつながる事業を立ち上げようと思ったのか。その背景には、佐藤さん自身が抱えていた「子育てをしながら働くことへの罪悪感」である。佐藤さんは常に、夫に対しては「いつも家事がきちんとできなくてごめんなさい」、子供に対しては「理想の育児ができなくてごめんなさい」、両親に対しては「いつも頼ってばかりでごめんなさい」、クライアントに対しては「子どもが熱を出すなど突発的なことでご迷惑をかけることがあるかもしれません。ごめんなさい」と謝ってばっかりだったと言う。
「『謝ってはじめて仕事ができる人』という設定を、自分自身にしてしまうんです。仕事はしたいのに、その時間が十分とれなくてできないという歯がゆさ。周囲からの『どうせ子どもがいるんでしょ』と半人前扱いされてしまう悔しさ。そういう日常の中で、気持ちの共有もできず、どんどん『自分には無理だ』と心が折れていってしまう。そんな思いをしなくてすむように、一人ではできないことでも何人か集まればできることがあると考え、クリエイティブマムズリンクを立ち上げました。そしてその後継となるマムズラボの事業理念は、ママの働き方を変えることです」(佐藤さん)
企業からも高く評価される「ママ目線」のこだわり
子育て中のママに対して、在宅でやりがいのある仕事を提供するとともに、企業に対してはマーケティング・クリエイティブ領域に人材リソースの確保というソリューションを提供するマムズラボ。「ママ目線」にこだわり、印刷物やWebメディアのライティング、クリエイティブ制作、イベントの企画・運営、そのほか市場調査や分析、座談会・グループインタビューの企画・実施などの事業を展開している。登録者は60人。登録者の中には少数だが男性や独身者もいるが、「条件はママ目線を可視化できるスキルを持っているクリエイターであること」と佐藤さんは言い切る。半数強が元々企業で働いていた人たちで、「企業で働いていたときは事務職でしたが、妊娠・出産後にスキルを身につけデザイナーやライターに転身した方もいます」と言う。
もちろんこの60人だけでは、先述したような事業をすべて運営していくことは不可能だ。そこでマムズラボでは一般ママやママインフルエンサー、その他パートナーなど、約1000人とつながりを持っている。その中には「ママタレントさんもいるんですよ」と佐藤さんは笑う。
企業もそんな「ママ目線」を求めて、マムズラボに案件の相談があるという。
「『デザインにママ目線を利かせて欲しい』『ママ目線の文章を書いてよ』という依頼が多いですね。私たちが携わるのは、デザインや文章のアウトプット部分だけではありません。そのアウトプットに至るまでの課題をママ目線で抽出するところから携わってもらうことが多いんです」(佐藤さん)
【次ページ】 「ママ」の役割が終わっても人生は続く
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