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ここ1、2年、一般企業でデジタルマーケティングが注目を浴びつつあり、いわゆる「MA」(マーケティングオートメーション)を導入して、見込み客や潜在顧客(リード)を育成し、企業の売上につなげようという動きが活発化している。そのような状況で、国内シェアトップを5年連続で維持し、競合他社の追随を許さぬ強さを見せるのが、中村 健一郎氏が率いるシャノンだ。同社が高成長を続けている要因は一体どこにあるのか? そして日本企業がグローバルで戦うためにはどうすればよいのか? マーケティングの観点から話を聞いた。
「リードマネジメント」にいち早く注目してきたシャノン
シャノンは、もともと中村氏が慶應義塾大学在学中の2000年にスタートさせたベンチャーだ。イベント関係の管理ソリューションを他社に先駆けて開発し、提供してきた企業である。
同社の名前を知らなくても、誰もが一度は同社のサービスを体験しているはずだ。大きな展示会などに行く前にオンラインで登録し、会場の受付でバーコード付きストラップを受け取って、そのバーコードをスキャンしてもらって入場する、あの仕組みを開発したのが中村氏なのだ。
同社は2001年から、このASP型のイベント管理サービスを始めており、すでに15年にわたるノウハウと実績を積み重ねてきた。もちろん来場側のデータ管理のみならず、バックエンドの出展者や協力会社、運営側のさまざまな仕組みなども含めて提供してきた。
中村氏は「当初は、この分野を狙って起業しようと思っていたわけではありませんでした。たまたま最初に相談された仕事がイベント管理の仕事だったのです。2000年当時は、まだ企業もインターネットをあまり活用しておらず、米国のMacworldのようなオンライン登録で入場できるサービスをやりたいという話をいただき、受託開発を試みたことが契機になりました」と回想する。
その後、同じような仕事が他の企業からも舞い込むようになり、時代的な背景からASPサービスに移行していったという。2000年半ばになると、IT系の企業を中心にホテルなどの会場を貸し切って開催するプライベートセミナーも増えはじめた。しかしイベントやセミナーなどは、あくまでスポット的な施策の提供にすぎない。そこで中村氏は「もっとマーケティング全体で企業のお役に立ちたいと考え、マーケティング統合環境へと徐々にサービスを進化させました」と説明する。
このように、すでに同社では2000年半ばぐらいから現在のMA(マーケティングオートメーション)にあたる機能、当時でいうところのリードデータ・マネジメントについて意識を向け、どのように効率的かつ効果的なサービスで支援できるかを考えてきたそうだ。
そして2011年に、これらのサービスの名称を現在の「SHANON MARKETING PLATFORM」(以下、SMP)に変更し、全方位的なマーケティング活動を支援するサービスとしてリリース。冒頭で紹介したように、それ以降5年連続でシェアNo1の座に君臨している。
中村氏は同社の強みについて「当時から先行してMA分野に着手しましたが、この分野で戦略的に勝つためにノウハウを蓄積している企業はほとんどありませんでした。MAツールは短期間に作り込むことが難しく、早い段階からお客様と一緒に製品を育て、支持をいただいたことが大きな財産になっています」と明かす。
【次ページ】イベント・セミナー管理で強みを発揮
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