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  • 2015/06/11 掲載

ラクスル 松本 恭攝氏に聞く、中小企業のマーケティング予算をチラシに使うべき理由

中小企業の商売に革命を起こす

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テレビCMでも一躍有名になったベンチャー企業「ラクスル」は、自社で印刷機を保有せず、サイト上で受注した印刷物をサイズ、種類、納期に応じて最適な提携先の印刷会社に発注して印刷を行う「ネット印刷」の仕組みを構築している企業だ。日本の全企業うち、99%以上の割合を占める中小企業の根本的な課題解決、集客販促支援に舵を切ったラクスルの狙いとは。同社 代表取締役 松本 恭攝(まつもと やすかね)氏に、ラクスルのこれまでの歩みとミッション、経営者としてのテーマについて聞いた。

コスト削減余地が最も高かった印刷業界で起業を決意

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ラクスル 代表取締役 松本 恭攝氏

──まずは、ラクスル創業の経緯を聞かせてください。

松本 恭攝氏(以下、松本氏):大学を卒業して経営コンサルティング会社のA.T. カーニーに入社しました。そこで担当したのが、企業のコスト削減プロジェクトでした。幅広い業種にわたる企業の間接経費をくまなく調査するうちに、印刷コストが最も削減率が高いということがわかりました。これはさまざまな面で効率化が進んでいない業界だなと。当時、印刷業界全体の市場規模は6兆円と大きなものでしたが、うち半分を大手2社が占め、残りの3兆円を約30000社もの中小印刷会社が奪い合うという構造になっていました。ここでITを活用してサービスを提供すれば、何か変革を起こせるのではないかというのがきっかけでした。入社2年目のことです。

──早くから起業を狙っていたのですか。

松本氏:そういうわけではありません。ゼロからイチのビジネスを手がけたいなとは思っていましたが、携わり方はどのような形でもよかったのです。創業したのは、仕事の中で印刷業界に出会ったのが決め手でした。

──しかし、創業はリーマンショック直後の2009年。タイミングとしては最悪です。

松本氏:当時はベンチャーキャピタルなど資金の出し手がまったくいませんでした。エンジェル投資はわずかながら存在しましたが、誰かに投資を依頼することなど考えられない状況で、選択肢は自己資金のみでした。しかし、時を待とうとは思わなかったです。社会人になったころからの経済環境がもうそういう状況だったので、その中で何とかするという思考になっていました。若くて怖いもの知らずだったというのもあります。

──ラクスル自体はスムーズにサービスインできたのでしょうか。

松本氏:いいえ。まず最初のサービスである印刷会社の価格比較サービスをリリースするのに、半年かかりました。前職の経験からビジネスプランを書くのは得意で分厚い資料はいくらでも作れるのですが、いざシステム作りとなるとなかなか前へ進みませんでした。当時は本業を別に持っているエンジニアに平日の終業後や週末に集まってもらい、プロトタイプを作っていくという手法を取っていたことも一因です。

 しかし、ひとたび印刷会社の価格比較サービスを発表すると、そこへ登録していただく印刷会社をこちらから探したり、向こうからアプローチがあったりして形が徐々に整い出しました。

 その後、顧客が提示した条件に対して印刷会社が見積りを提出する一括見積りサービスをリリースして、顧客と印刷会社のマッチング数は順調に伸びていきました。一方で、それにつれて問題も発生するようになりました。「サービスを利用してみたが印刷の質が低い」「印刷物を送ったけれどお金を払ってもらえない」といったクレームです。そこで気づいたのは与信機能の提供で、印刷会社登録時の品質審査を強化するとともに、トラブル時にはその後の防止策を徹底して図るというやり方でPDCAサイクルを回し、ECビジネスとしての完成度を高めていきました。

【次ページ】中小企業にとってチラシは有効な集客手段
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