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  • 2012/10/05 掲載

最新鋭のファシリティーを駆使したデータセンターにみる「現場力」という選び方

キヤノンがデータセンター事業を本格化

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キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)が、グループ初の自社所有データセンター「西東京データセンター」を10月17日よりオープンする。秋葉俊幸センター長が「最新鋭のファシリティーを備えた」と自負するように、ここまでやるのかと思わせるレベルのデータセンターに仕上がっている。一方で、多くの一般企業にとっては最新のデータセンターを利用しなければならないシーンは限られているかもしれない。しかし、クラウドの進展、BCP機運の高まりなど、ビジネス環境の変化に対して、データセンターを立地以外で選択できる“目利き力”を養うことは求められているはずだ。その視点で現地を訪れたので紹介したい。
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キヤノンITS
ITサービス事業部
ITサービスマネジメントセンター
センター長
秋葉俊幸氏
 「西東京データセンター」は、「キヤノンとしてのデータセンター事業のさきがけ」(秋葉氏)で、初めて同社が所有するデータセンターとなる。設立には足かけ4年、昨年着工を開始し、10月17日にようやくサービスインを果たす見込みだ。

 同センターは80か所の候補地から選定。最終的に4~5か所に絞り込み、都心から20キロ圏内、交通では約1時間、武蔵野の強固な地盤の上に立つこと、大規模河川との位置関係、海岸線からの距離などから、現在の場所に建設を決めたという。

 「最新鋭のファシリティーを備えた」(秋葉氏)と自負する同データセンターの床延べ面積は1万6883平米におよぶ。ラック換算で実に2300ラック(1階700ラック、2階800ラック、3階800ラック)だ。

 にもかかわらず、秋葉センター長によれば、すでに想定を上回る3000ラック相当の引き合いが来ているという。「(本データセンターへ)徐々に移行したいという声も多く、2010年代の後半には埋まっていく」との見通し。同センター横には同程度の空き地があり、すでに土地は確保済み。早くも「どこかのタイミングで(新設する)決断が必要」(秋葉センター長)といわしめるほどだ。

 問い合わせ企業の業種は「おもに金融系」だが、その多くが集積度の高いデータセンターへの移行によるコスト削減効果を見込む。古いデータセンターに設置されている場合、1000ラックを300ラックに集約することも可能という。ほかにも春先に本データセンター事業を発表後、外資系ベンダーから協業の提案が複数あったことも秋葉センター長は明かした。

 データセンター需要があるのは、都内に限らないようだ。同社が所有する沖縄県名護市にあるデータセンターはほぼ満床となり、10月に沖縄県宜野座に新たにデータセンターを開設することを決定した。

大型ボディスキャナーで24時間365日女性スタッフが対応

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外観
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エントランス部
 では、実際のデータセンターを見ていこう。駅から約10分、閑静な住宅街を抜けると、鉄扉に守られた建物が来客者を迎え入れる(敷地にはビーム型赤外線センサーも備えているという)。

 受付では、ゲスト入館者の個人認証はもちろん、常に出入りできる入場パスを持った担当者も出入り口でパスを預入させ、パスそのものを持ち出させないという徹底ぶりだ。

 受付を済ませて最初に迎えるのが、ミリ波アクティブ型ボディスキャナーだ。同スキャナーでは携帯電話の1万分の1の微弱なミリ波を射出し、手荷物だけでなく、ポケットに入っているゴミ、金属探知機で発見できない化学物質や水分までもチェックできる。この巨大機器が2台(行きと帰り用)待ちかまえる。

 ただし、ミリ波を使ったボディチェックは個人の体型などが丸わかりになるため、プライバシーへの配慮から日本の空港などでは導入が見送られるケースがあった。今回キヤノンITSでは、「ミリ波の信号をコンピュータ処理している」ほか、24時間365日女性スタッフが対応するなど、プライバシーに配慮したという。

 この大型ゲートを抜けると、次に一般的な入場ゲートが待ち受ける。こちらはよく見かけるローターゲートと生体認証が備わっており、共連れなどの侵入防止の役割を果たす。

【次ページ】最新データセンター建設の裏で行われていたこと
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