『内定取消! 終わりがない就職活動日記』著者 間宮理沙氏インタビュー
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現代の就職活動の生々しい実態について綴った『内定取消! 終わりがない就職活動日記』(日経BP)が話題だ。就職活動の現場で具体的に何が起きているのかについて、著者自身の体験をベースに書かれているので就職活動中の学生の共感も呼んでいる。厳しい就職戦線の現状とそれに対してどう向き合うべきなどについて、本書の著者である間宮理沙氏にお話を伺った。
不況下における就職活動のリアル!
――就職活動の実態を生々しく描いた『内定取消! 終わりがない就職活動日記』(日経BP)は刊行後、とても話題になったと思います。反響としてはどのようなものがあったかお教えください。
間宮理沙氏(以下、間宮氏)■ブログのコメントやメールで、「ニュースでは知っていたけど、実情はこんなに大変なことなのかと知りました」「就職活動で悩んでいたけど、もう少し頑張ってみようと思いました」といった感想を多くいただきました。ブログの読者は半分くらいが社会人の方なので、中には“社会人としての心構え”を教えてくださった人もいたり。
また、本の発売に合わせて大学生協でトークショーのイベントをやらせていただいたのですが、そこでは就職活動の悩みや、企業選びのポイントなどの相談を学生から受けることが多かったです。
――その後、読者からの相談なども複数あったかと思うのですが、本を出されて以降の現在の就職戦線はどういった状況になっていると見ていますか?
『内定取消! 終わりがない就職活動日記』
間宮氏■最近は明らかな内定取り消しをする企業は減ってきていると思います。私が経験したような内定を辞退するように仕向けたり、新卒切りといって入社直後に何らかの理由をつけて自主的に退職を迫るケースが多いようです。実際に、辞退を迫られたという学生さんや、新卒切りにあった方から、メールで相談を受けています。内定取り消しは、年々巧妙になっていると感じていますね。
――もし学生が内定を取り消されたり、新卒入社の社員がいきなり新卒切りに遭ったら、基本的にはあきらめて新しい就職先を探したほうがいいとお考えですか? もちろんケース・バイ・ケースではあると思うのですけど、一般論としてお伺いしてみたいです。
間宮氏■新卒切りなどの形で「退職勧奨」を受けることは、精神的にとても大きな痛手を負います。会社への不信感を持ったまま新社会人として働くのは、とても大変なことです。仮に、退職を迫っていた会社側が態度を翻して、会社に残ってもいいと言ってくれたとしても、経営状況が切迫している可能性が大きいでしょう。新しい就職先を探した方がいい場合が多いのではないかと思います。ただ、新卒切りや内定取り消しに対する「偏見」はどうしてもあって、新しく就職先を探すとしても選考や面接で不利になるかもしれません。とはいえ、少しずつ問題が公になるにつれ理解を示してくれる人たちも増えてきているように感じています。新たに就職活動しながら、補償や謝罪など納得できる条件を求めて交渉することもお勧めしたいです。
普通に就職活動をするだけでも大変な世の中ですから、並行して新卒切りにあった企業と交渉するということは、とても大変なことですが、諦めないでほしいです。『内定取消! 終わりがない就職活動日記』という本は、何度も諦めたいと思いながらも、周囲の人たちに支えられながら、企業との交渉や就職活動に文字通り奮闘する過程を書きました。社会人となった今、あのとき辛い経験をした分、少しのことではへこたれないぞ、という自信につながっている気がします。内定取り消しや新卒切りは、辛くてもきっと後から自信につながる経験ですから、自分を信じて納得できる打開策を選んでほしいです。
――100社以上エントリーしてもなかなか内定がもらえない状況だと、「この会社はブラックかもしれない……」と感じていても入社したいと思ってしまうかもしれません。そうならないためにも、どんな点に注意して企業を探せばいいのでしょう?
間宮氏■まずは「やりたい仕事」にこだわり過ぎないで、いろいろな企業にエントリーしてみることをお勧めします。「やりたい仕事」は、「できる仕事」「向いている仕事」と必ずしも同じではないはずです。その仕事は本当に自分がやりたいことなのか、もしくは向いているのかなどを知るためには、まず情報を集めることが大切です。
就職活動を始めたばかりだと、まだ具体的な仕事のイメージをつかめていないことが多いと思います。まずは、興味のある業界の人にたくさん会って、話を聞いてみてください。同じ業種を数社受けてみると、志望しているある企業の業界での位置づけがわかるはず。すると、自己PRにも志望理由にも深みが出ますから、第一志望を受けるに際にもいい影響があるはずです。あとは、企業説明会や面接で志望企業のオフィスに行く機会があれば、社員同士の会話や、社内ですれ違う社員のみなさんの雰囲気などをよく見ておきましょう。社員のみなさんの言動をよく見てみると、何か気づくことがあるかもしれません。
選考の途中では、前回の面接でどういったところを評価してもらえたのかを聞くのもお勧めです(企業によっては答えてくれない場合もあるようですが)。求めている人材像がより明確になってきますし、今後の面接に生かすこともできるはずです。就職活動ではとにかくフットワークを軽くして、いろんな企業の人に会って話を聞いて、自分で企業を選ぶ目を養うことが大切だと思います。
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