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「宗教」や「民族」というテーマがよみがえり、混迷を深める世界
──現在、起きている世界の構造変化について、ご意見をお聞かせください。寺島氏:『英国The Economist(エコノミスト)』が、毎年年末に次の年を予測する小冊子を出しています。いつも注目していますが、2015年末の号では、2016年を象徴するキーワードとして「Woes」「Woman」「Wins」の3つが取り上げられました。「Woes」は「災い」、「Woman」は「女性」、「Wins」は「勝利」です。
2016年も半年が過ぎた今、この3つのキーワードが心に響きます。「Woman」はドイツのメルケル首相や米大統領候補のクリントン、この夏の東京都知事選挙で選出された小池 百合子知事などの女性の活躍と重なります。「Wins」はおそらくオリンピックを意識したキーワードですね。特に気になるのは、「Woes(災い)」です。英国のEU離脱、日本人も犠牲になったISによるテロなど、まさに世界は災いの渦中にあり、混迷を深めていると感じます。
世界の構造変化という意味では、キッシンジャーが『World Order』という本の中で「今、世界は1648年のヴェストファーレン条約から400年ぶりの構造転換期にある」と言っています。ヴェストファーレン条約は、欧州最後の宗教戦争である30年戦争の終結点で結ばれた条約であり、このときから近代の国際政治、国際力学が始まったといわれています。それから400年間は、ある意味、政治が宗教から自立していた時代だったわけですが、ここにきて、再び宗教や民族といった問題がよみがえってきたように感じます。
──冷戦終結直後と比べても、現在の方がより構造転換期なのですね。
寺島氏:冷戦が終わった直後は、社会主義対資本主義というイデオロギーの対立が終焉し、これからの世界はフラットになる。つまり、国境を越えて人、モノ、金、情報、技術が自由に行き交うようになり、政治の時代からフラットな経済の時代に向かうと誰もが考えました。
しかし、現実にはそうはなっていません。冷戦の勝者であるアメリカの力は後退して、どんな小さな国や民族でも自己主張し、そこに宗教がからまって混迷を深めています。社会主義が崩壊して、いよいよ資本主義の黄金時代が来るかと思ったら、葬ったはずの民族や宗教というテーマがよみがえり、収拾が付かない状態にあるのが、今の世界だと思います。
善悪双方のポテンシャルを増大する情報技術の革新
──ITの世界では、ビッグデータ、IoT、人工知能といったキーワードが注目を集めています。こうした技術革新は、現在の混迷と関係があるのでしょうか。今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
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