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好業績企業とそうでない企業の間にある深い溝
甲元氏:実は以前からもそういった問題意識はあったと思います。システムの継続性や堅牢性、可用性などにばかり目が向いていて、IT戦略とビジネスが同期していない。IT戦略がビジネスとは違う方向を向いているという問題意識です。経営者は昔から、コスト削減や売上増加、顧客満足度の向上や新規顧客の獲得など、目に見える形でビジネスに貢献しないと、ITに投資する意味がないと考えてきました。最近特にこうしたことが言われるのは、ITでビジネスをドライブしている企業が勝ち組になっている現実がより鮮明になってきているのを目の当たりにして、危機感を抱く経営者が増えているからだと思います。
甲元氏:ITを戦略的にビジネスに活用できている企業は、ざっくりいうと全体の1~2割にすぎません。そういう企業は、ビジネスも絶好調です。しかし、ITをコストと考えている企業は業績が振るいません。これは調査データを見てもはっきりと分かれています(図1)。
ITをコストセンターと見ている企業は、できるだけコストをかけない現在のシステムを維持したい、つまり「余計なことはしたくない」と考えています。このため、情報子会社の役割の大半は「運用」なのです。システムのおもりをしているだけで、直接ビジネスに貢献する業務とはいえません。
一方、業績のいい企業は、新しいテクノロジーを積極的に取り入れて戦略的なIT投資を行い、ビジネスの成果を出しています(図2)。すると、「ITは使えるじゃないか」となって、さらに投資が膨らむという好循環が生まれています。「デジタルデバイド」という言葉がありますが、いま、企業間のデジタルデバイドは、本当に深刻だと思います。
──SaaSだけでなく、PaaS、IaaSなどを活用する企業が増えることによって、情報システム部門や情報子会社の中には、自分たちの仕事がなくなってしまうのではないか、という危機感が広がっていませんか。
甲元氏:従業員レベルではあるでしょう。いままで、運用をやっていればよかったのに、そういう仕事がなくなるのではないかという危機感ですね。しかし、IT部門の長や情報子会社の経営層に、それはありません。自分たちの業務を、もっとビジネスに貢献する分野に振り向けなければならない、と考えているはずです。
そのためには、仮想サーバをプライベートクラウドに持っていき、運用を自動化して人手がかからないようにしたり、アウトソーシングやパブリッククラウドを活用したりと、さまざまな検討が始まっています。そして、これまでの運用スタッフは、システムの企画やプロジェクトマネジメントに近い業務が割り振られることになるでしょう。
小宮氏:なぜ、これまで運用がフォーカスされていたかというと、やはりメインフレーム時代のアプリがあり、それを保守・運用するという流れがあったからだと思います。その後、クラサバ化、オープン化があり、仮想化があるわけですが、ようやくハードウェアとソフトウェア、ビジネスロジックを切り離せる時代になってきました。つまり、サーバやストレージを買わなくても、すべてのリソースを仮想化し、その上にビジネスを構築できる時代になったのです。しかも、それをオープンなアーキテクチャで実現できます。さらに、過去20年に渡り進化をしてこなかったと言われるネットワークの世界にも、SDNへの劇的な技術革新が起きてきました。したがって、「エンタープライズアーキテクチャ」を再定義するには、いまがとてもよいタイミングなのです。
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