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  • 2014/01/17 掲載
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本格的なビッグデータ時代に突入し、データの容量、種類が増え、またデータ生成のスピードも勢いを増している。こうしたIT環境の変化は企業が取り扱うデータにも影響を与え、加えて企業活動のグローバル化や他企業とのコラボレーションが推進されることにより、高品質で高速なデータ伝送へのニーズが湧き上がっている。たとえば、グローバル化によりデータ伝送距離は確実に長くなっており、時間をかければ地球の裏側にもデータを送ることはできるが、ビジネスのスピードも加速する中で、その非効率を何とか解決できないかと苦悩している企業は多いだろう。そうした中、世界で革新的なテクノロジーベンチャー100社に贈られる「2013 Red Herring Top 100 Global」を受賞した、Skeedという日本企業のテクノロジーが注目を集めている。Skeed 代表取締役CEOの明石昌也氏に話を伺った。

今、高速データ伝送が必要とされる理由

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Skeed
代表取締役CEO
明石 昌也 氏
 総務省の調査によれば、日本は世界でも有数のブロードバンド大国と言える。特に都心では光ファイバー回線が当たり前で、昨今ではモバイル網も高速化が進んでいる。データの大容量化が進んではいるが、日本の都心部で業務が完結するのなら、それほどネットワークの問題は意識しないかもしれない。

 しかし、ビジネスのグローバル化により、そうはいかない状況が深刻化している。たとえば世界に拠点を持つ企業は、業務プロセスを世界規模で再配置している。製造業であれば、従来は設計を日本で行い、製造は東南アジアで行うといった状況から、世界中のどこででも設計が行われ、それを最適な場所で製造するといったことが一般化してきた。すると、3Dモデリングデータや高解像度画像、試作品動画などの大容量データが遠く離れたビジネス拠点に張り巡らされたネットワークの中を行き交うことになる。

 多様な業界でオフショア開発も日常化している。日本とインドの間でテラバイト級のゲームアプリケーションデータが行ったり来たりする状況は、もはや奇異でも何でもない。

 また、ここ数年のクラウドやモバイルの進展は、高速データ伝送のニーズをさらに加速している。ここに来て急速な変化を目の当たりにしているという、Skeedの代表取締役CEO 明石昌也氏は次のように語る。

「キーワードは、『グローバル』『クラウド』『モバイル』の3つです。クラウドの進展とともにデータセンターはインフラ競争力を高めるために基幹ネットワークの高速化に力を入れています。また、通信事業者や企業はモバイルの利便性を高めるために、さらなる通信の高速化を真剣に模索しています。グローバル化についても、かつてのように先進国のようなインフラの恵まれた市場だけでなく、新興国やフロンティアと呼ばれる、必ずしもインフラが整っていない国への進出を進めていることが背景にあります」(明石氏)

 このように、グローバル・クラウド・モバイルの進展によって、さまざまなデータを、安心かつ安定した高速データ伝送のニーズが急速に高まっているのである。

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最大300倍の高速化を実現したSkeedSilverBullet

 こうしたデータ伝送ニーズ大変化の時代に合致する高速データ伝送技術を開発していたのがSkeedである。同社は、P2P技術やネットワーク制御技術などを用いた、ソフトウェアによるネットワークソリューションおよびデータマネジメントソリューションの提供を得意とする技術者集団だ。

 その同社が2011年に開発したソフトウェアが、ファイルやストリーミングデータを高速に伝送する「SkeedSilverBullet(以下、SilverBullet)」だ。インターネットの標準的な通信プロトコルであるTCPの実装上の問題を解決した独自のプロトコル(SSBP:Skeed Silver Bullet Protocol)を開発し、かつてない高い通信効率化を実現した。SilverBulletの特徴について、明石氏は次のように語る。

「SilverBulletの特徴は大きく3つあります。1つめは、極めて高い伝送効率を実現していること。モバイル回線や衛星回線、ケーブル回線などあらゆる回線の高速化が可能で、レイテンシ(通信の遅延)の多い海外とのやり取りでもその影響を最小限に抑えます。実際に、日米間でFTPの50倍、日欧間で同70倍の伝送速度の実績があります。2つめは、高い伝送速度を保ちながらDiffie-Hellman鍵合意やAESによる通信の暗号化に対応できること。安全にデータを届けることができます。3つめは、帯域の状況を見ながら、他の通信になるべく影響を与えずに回線を最大限活用すること。我々はインターネットのインフラを社会全体の資産ととらえています。そのため、他のネットワークを圧迫しながら、自社のトラフィックを通すようなことはしていません」

 他の通信への影響をインテリジェンスに回避する技術は、さまざまな通信が飛び交う企業ネットワークには最適なものと言える。利用可能な帯域幅を最大限に活用しながら、同じ回線上で他の通信が行われていれば、自身が利用する帯域を自動的に絞り込む。

 またSilverBulletが得意とするのが、多数のファイルを転送することだ。具体的に、アイルランド ダブリンにあるサーバから東京 目黒にあるSkeed社のサーバへ通常のFTP経由で転送するデモを実施してみた(Skeed社内は100Mbps回線を使用)。10キロバイトのデータが800個入った総容量でわずか8メガバイトのファイルだが、通常のFTPでは20分もかかる。これに対してSilverBulletを利用して送った場合はわずか4秒と、300倍の高速化を実現している。

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SilverBulletの強み

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SilverBulletによる高速伝送の品質を高めるIBM PowerLinux

 このSilverBulletの力を引き出すハードウェアベンダーとして、Skeedがアライアンスを組むのがIBMだ。2014年1月より新たにSilverBulletの稼働プラットフォームとしてIBM PowerLinuxを採用したが、その理由について、明石氏は次のように語る。

「SilverBullet自体はソフトウェアですが、これまではハードウェアがボトルネックとなって思うように性能を発揮できないこともありました。今回、IBM PowerLinuxで長期間にわたって性能検証をしたところ、極めて高いパフォーマンスを実現できることがわかりました。信頼性、堅牢性が高く、仮想化テクノロジーであるPowerVMの柔軟性やパフォーマンスも非常に優れており、高い総合力を発揮できると考えています」

 同社は2013年、米国のテクノロジーニュースプロバイダーとして知られるRed Herring社から「2013 RedHerring Top 100 Global」に選ばれた。サービスなどでは評価されることもある日本のスタートアップだが、基礎技術が認められて受賞するのは稀。今や世界的なテクノロジー集団と認められた同社が、信頼を寄せるIBMのハードウェア。その技術レベルの高さもまた推して知るべしである。

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SilverBullet+IBM PowerLinux構成イメージ

 また、表彰をきっかけに世界中から「製品を評価したい」という要望が押し寄せており、世界的なニーズを感じ取っていると明石氏は語る。

「世界的にネットワーク高速化に対する意識は大きく高まっています。高速データ伝送で最高のシステムを求めるお客さまには、自信を持ってSilverBulletとIBM PowerLinuxの組み合わせをお勧めします」

 SkeedとIBMの本格的な協業展開はこれからだが、すでに国内でもSilverBulletとIBM PowerLinuxの採用を決定した企業も出てきており、高い注目度がうかがえる。現在、両社の技術者たちはこのカップリングをさらに強固なものにしようと協力してチューニングを進めているところだ。一方、Skeedのテクノロジーを高く評価している日本IBMは、ベンチャー企業である同社を日本企業へ紹介することにも力を入れる。

 クラウド、モバイル、グローバルを三大市場ととらえ、今まさに羽ばたこうとしている日本発ITベンチャーと、Linuxテクノロジーへの造詣を背景にさらに前へ進むグローバルIT企業。2014年は、このユニークなコンビのニュースを数多く目にすることになるかもしれない。

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IBM、IBM ロゴ、ibm.comは、世界各国における International Business Machines Corporationの商標です。他の製品名及びサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標です。現時点でのIBMの商標については、www.ibm.com/legal/copytrade.shtmlをご覧ください。
SkeedSilverBullet(tm)は株式会社 Skeedの商標です。

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