JOYSOUNDのエクシング事例:カラオケ会員1000万人プロジェクトを支えるDB基盤の再構築
5年間のTCOを3割削減
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会員数が急増、ピーク時のデータベース性能が限界に
これは、カラオケ店舗とパソコン、ケータイを結びつけたカラオケ・ソーシャルメディアだ。会員登録すると、歌唱歴、採点歴、全国ランキングなどが記録され、さらにカラオケ店舗で歌っているところを動画撮影し、アップロードして、会員同士で共有することもできる。
「年々会員が増加するため、パフォーマンスの問題が発生していました。データベースの追加やチューニングを行いましたが、その結果、データベースが乱立し、保守やライセンスのコストがかさむようになったのです。そこで、会員数が400万人を突破した2010年6月、会員が1000万人になっても十分に対応できる統合データベース基盤を構築する『うたスキ会員1000万人対応プロジェクト』を立ち上げました。」(日比野氏)
性能、コスト、拡張性でIBM Power SystemsとXIVの組み合わせを選択
機器・ベンダーの選定にあたっては、3つの案が検討された。第一はIBM Power Systemsとストレージ製品のXIVの組み合わせ、第二はデータベースアプライアンス製品、第三はx86系サーバとSSDの組み合わせだった。詳細な検証と比較・検討を積み重ねた結果、IBM Power SystemsとXIVの組み合わせが選択された。その理由を、日比野氏は次のように語る。「IBM Power Systemsの特徴であるMicro-Partitioning機能により、効率的にCPUが利用できる点、PowerVMの仮想化による拡張が柔軟で、ライセンスコスト面でもメリットが大きかった点が大きな理由です。XIVについても、I/O性能が高く、ハードウェアを増強しても、自動分散機能で使用率を自律的に最適化できる点を高く評価しました。」(日比野氏)
最終的に、x86サーバ15台(Xeon 56コア)で構成されていた9つのシステムは、16コアを搭載するPower 740(本番2台、待機1台)とストレージ製品 XIV Gen3の1台に統合された。現在は、5つのシステム移行が完了し、残るシステムの移行も2013年中には完了する見込みだという。
導入費用も含め、5年間のTCOを約30%削減
新しいシステムの効果は明らかだった。先行して切り替えを行ったデータベースについて、データベースを利用するサービスの主要機能42項目の効果測定を実施した結果、2倍以上性能が向上したのが9項目、1~2倍向上したのが9項目という結果であった。また、コストメリットも大きかった。「ハードウェア保守費用は約40%、データベースのライセンス費用は約30%削減できました。特に大きかったのはデータベースの拡張チューニング費用で、これは約70%もの削減に成功しました。導入費用を含めても、5年間のTCOは約30%削減できる見込みです。」(日比野氏)
なお、導入したサーバ(Power 740)とストレージ(XIV Gen3)には、まだ余裕があるという。このため、今後は20万曲ものカラオケ楽曲や携帯向けコンテンツのデータベースも統合していきたいという。今後のビジネス展開について、日比野氏は次のように述べる。
「カラオケ・音楽事業はITトレンドの変化とともにサービスも変化しています。今回のプロジェクトで構築したデータベース基盤は、1000万人会員を目標としたサービスの拡充に柔軟に対応できるIT基盤だと考えています。」(日比野氏)
また、大量・高速なデータ処理が必要なシステムを構築するときは、より広い視野で製品を選定すべきであると、次のように述べた。
「弊社は、これまでx86サーバを使い続けてきたのですが、高速・大量のデータ処理が必要な場合は、IBM Power Systemsのような高性能なシステムが、コスト削減に効果的であることがわかりました。低価格なサーバに目が行きがちですが、結果的にそちらの方が高コストになる場合がありますので、視野を広げて、いろいろなところをあたってみるのがよいと思います。」(日比野氏)
「うたスキ会員1000万人プロジェクト」を支えたIBM Power Systemsの特長
「1ヶ月に30万アップロードされる動画の管理やリアルタイムのランキング集計に必要な高い処理能力、スマートフォンやSNSに対応した新しいサービスの追加に必要な高い拡張性、季節変動などのピークに対応するための柔軟性などが、弊社の製品が選ばれた理由だと思います。」(伊東氏)
また、IBM Power Systemsの仮想環境 PowerVMでは、いまだに脆弱性の報告がゼロであり、基幹・統合基盤に求められる高いセキュリティを実現していることも強調した。
最後に、仮想化によってシステムが複雑化していると述べ、解決するためには、運用負荷の軽減、仮想サーバの容易な配置、複数の物理サーバやストレージのシステムプール化などが必要であると指摘し、次のように製品をアピールした。
「メインフレームの仮想化思想を引き継いでIBM Power Systemsのハードウェアに埋め込まれたPowerVMは、x86ベースの仮想化が普及することで顕在化した課題を解決し、スマートなIT基盤を構築するため、あらゆる規模のお客さまにPOWERの価値をお届けできる製品ラインアップをご用意しています。24時間365日連続稼働が求められる基幹業務用、あるいはx86サーバを統合する新しい選択肢として、ぜひIBM Power Systemsをご検討ください。」(伊東氏)