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  • 2012/09/03 掲載

岸博幸 教授x山口俊昌社長 対談:日本流のグローバル戦略、IT戦略はどうあるべきか

“おもてなし”の日本型ビジネスモデルで勝つ!

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近年、日本企業経営者が考える経営課題上位に「グローバル化」が上がるようになった。これまでも継続的に取り組んできたテーマだが、このところあらためて注目を集めている格好だ。一方、新興国企業の台頭や米国のものづくり回帰の攻勢にさらされ、日本企業は世界での戦い方に自信を失っているという観測も目立つ。日本企業の真のグローバル戦略は、一体どうあるべきなのか。慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授の岸博幸氏と、GRANDIT 代表取締役社長 山口俊昌氏の対談から、日本企業が掲げるべきグローバル戦略、そしてその中でのIT活用のあり方について探った。

変わる“グローバル化”の意味と意義

photo
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科
教授
岸博幸氏
──日本企業のグローバル戦略がクローズアップされています。昔から海外進出の必要性は説かれてきましたが、なぜ今ここにきて注目を集めているのでしょうか?

【岸氏】 過去と今ではグローバル化の意味が違ってきているからです。今まで日本企業のグローバル化といえば、労働賃金の安い国へ行って生産コストを下げることが目的でした。日本にいたら、人件費、物流コスト、法人税などいろいろ高コストになりますから。だから海外へ出ていったわけです。

 しかし、昨年あたりからこうした傾向が変わり始めました。たとえば、米国などで起きている製造業の国内回帰などがその1つです。こうした変化には大きく3つのポイントがあります。1つ目は人件費が下げられるからといって出て行った中国などで労働賃金が上昇していること、米国内の雇用確保の問題もあります。そして、2つ目は社会的にコンプライアンス強化が求められていること。3つ目はITやFA(ファクトリーオートメーション)の徹底活用によって製造工程の自動化が進み、国内で生産しても人件費の抑制が効くようになってきたことです。

 ですので、単に生産コストを下げることを考えるよりも、最終消費地に近いところで作って需要の変化や多様化に柔軟に対応するほうが、いい結果を生むということを企業が認識し始めたのだと思います。

 もちろんそれでも新興国へのシフトは変わりません。これは新興国の最終消費地としての魅力が、以前よりも増しているからで、そのために海外拠点を設けるようになっているのです。

この記事の続き >>
・グローバルで勝ち抜く日本企業ならではの価値とは
・成功している企業は何が違うのか

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