- 2006/08/18 掲載
NEC、第三世代(3G)携帯電話基地局用トランジスタアンプを開発
【IT基盤】電力合成回路を用いずに、世界最高クラスの出力400ワットと低歪み特性を同時に実現
第三世代携帯電話(3G)の加入者急増や、携帯電話サービスの多様化・高度化によるトラフィックの増大を背景に、システムの高速大容量化が喫緊の課題になっている。そのため、基地局用送信アンプの高出力化が求められており、同時にこれを小型・高効率で実現することが求められていた。従来の送信アンプとしては、砒化ガリウムあるいはシリコン半導体トランジスタを使ったものがあるが、200W以上の出力を得るためには電力合成が必要だった。そのため、電力合成回路の導入に伴う送信アンプの容積増大と、電力合成損失の増加による消費電力の増加が課題となり、小型で高効率な送信アンプを実現することが極めて困難だった。
こういった状況の中、NECは、高出力特性と高周波特性を併せ持つ窒化物半導体トランジスタを用いて、世界最高クラスの出力400Wと、低歪み特性を同時に実現する小型の第三世代携帯電話(W-CDMA方式)基地局用送信アンプの開発に成功した。この送信アンプは電力合成回路を用いずに、W-CDMA方式で世界最高の電力増幅を実現した単一のトランジスタパッケージを使って構成されている。この成果は、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)から(財)新機能素子研究開発協会に委託されたプロジェクト「窒化物半導体を用いた低消費電力型高周波デバイスの開発」(プロジェクトリーダー:立命館大学 名西やすし教授)により得られた成果を活用して達成されたものである。
このたび開発した送信アンプは、(1)ゲート電極に接続したNEC独自のフィールド・プレート構造を導入し、高い動作電圧45Vと高い電流密度 1A/mmを両立させることで高い出力密度を実現した窒化物半導体トランジスタ、(2)アンプの小型化が可能で、必要な高周波部品点数の少ないシングルエンド増幅器回路、(3)アンプのメモリ効果を低減し、歪み補償機構を有効に機能させるバイアス回路、などにより実現したという。
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